映画、舞台からドラマ、さらには文筆や舞台演出まで幅広く活躍する大和田さんは、基本的に物に執着しない性格だという。しかし時計に関してはファンや身近な方からいただくことも多く、全部合わせれば20本くらいは所有しているというから、かなりのコレクションだ。
「基本的には実用的でシンプルな時計が好きですね。いただいた時計で特に記憶に残っているのはオーデマ ピゲ。今から35年くらい前に、僕を応援していてくれた方からいただいたものです。当時の価格で数百万円したから躊躇したんですが、それでもぜひと言われたので頂戴しました。最近は着けていませんが、今ではちょっとしたアンティークで、オーバーホールするのも本社まで送らないといけないと言われちゃって。そのうちオーバーホールに出したいですね。自分で買った時計で覚えているのは、この仕事で何とか食えるようになった頃に買ったロレックス。仕事で海外に行ったときに、帰りの空港の免税店で買ったんですよ。今考えてみればたいして高い時計じゃなかったけど、当時としては結構思い切って買った記憶がありますね」
ファンから頂く時計も含め、そのコレクションは20本以上---
最近の愛用している腕時計は、ブルガリ ブルガリ。アルミケースにブレスとベゼルのラバーが効いており、かなりスポーティブなモデルだ。
「さっきも言ったようにいただいた時計を身に着けることが多かったんですけど、これは久しぶりに自分で買った(笑)。アルミとラバーでできているからとても軽いんですよ。家族でロサンゼルス旅行に出かけたとき、女性陣がどうしてもと言うのでビバリーヒルズのブランド店が並んでいる通りまで行ったんです。僕は通りで待っていたんですが、息子が『せっかくだから自分のために何か買ったら?』って勧めてくれたんですよ。そのときにサングラスと一緒に買ったんです。文字盤がシンプルで見やすいし、腕にもよくフィットするんで気に入ってます。こういうスーツを着ているときでも違和感ないですしね」
さっきも言ったようにいただいた時計を身に着けることが多かったんですけど、
これは久しぶりに自分で買った(笑)
取材時にはシックなスーツ姿が似合っていたが、それでもファッションに関してはいろいろ試行錯誤の連続だという。
「指輪やネックレスとか、装飾品にもまったく興味がないですし、男のアクセサリーって時計くらいしかない。この年になっても男のファッションは難しいですよ。普段はジーンズなどのラフな格好が多いけど、最近は息子にいろいろ教わってアバクロンビー&フィッチなどを着たりしてる。ロケ先でも『今日、カッコいいですね』って受けがいいんですよ。ファッションでは息子にいろいろ教わることは多いかな」
その柔軟な姿勢が、さまざまなフィールドで活躍できる源泉になっているのだろう。
大和田 伸也(俳優)
SHINYA OHWADA 1947年10月25日生まれ、福井県出身。早大劇団、自由舞台から劇団四季を経てNHK朝のテレビ小説『藍より青く』で人気を得る。その後国民的人気番組『水戸黄門』の格さん役で広く親しまれ、テレビ・映画・舞台で活躍。最近ではそれまでの重厚な役柄に加えて、『花嫁のパパ』『暴れん坊ママ』などの人情ある父親と演技の幅を広げている。