ロレックスが認定した中古品であることを証明するギャランティーカード（写真◎ロレックス）
2022年12月1日に突如として発表された「ROLEX CERTIFIED PRE-OWNED（ロレックス認定中古時計）プログラム」。当連載でもそのときに「正規ロレックスがついに中古市場に参入！ 今後どうなる“2次流通市場”」（関連記事参照）と題して書かせていただいた。
ただ、このプログラムが開始されたのはヨーロッパの一部店舗のみで、日本での実施は見送られている。まあ中古市場が早くから確立されている日本では当然のことかもしれない。
そんなわけで、これについてはあまり注意深く追いかけてこなかったのだが、先日、このプログラムを実施しているスイス・ジュネーブの高級時計宝飾店「ブヘラ」に行って実際に認定中古の状況を見てきたという、東京・荒川のアンティーク時計専門店“クールビンテージ”のオーナー、林賢治氏に話を聞くことができたため、今回はそれについて触れてみたい。
林氏によるとロレックスの認定中古はブヘラ4階の一角（写真参照）に設けられていて、その4階に上がる場合には警備員が同伴だったのこと。
対応してくれたショップスタッフにロレックスの認定中古について聞いたところ「ロレックスの場合は中古といえども高額なので正直なところ厳しい。2次市場との価格差が少ないオメガの中古のほうがまだ売れている」と言っていたそうだ（ブヘラではパテック フィリップとオメガの中古も販売）。
スイス・ジュネーブの高級時計宝飾店「ブヘラ」の4階にあるロレックス認定中古の販売スペース（写真提供、林賢治氏）
ちなみにブヘラのECサイトで販売されていた、旧型サブマリーナーデイト（Ref.116610）の中古価格をみると、年式は書いていなかったが1万4300スイスフラン（日本円換算で約228万8000円）と確かに高い。
対して日本のショップだと160万円〜180万円。年間900万人もの世界中のユーザーが利用する高級時計の巨大なマーケットプレイス“Chrono24”でさえ中古については170〜190万円といった相場感だった。
認定中古はおそらく新しいパーツに替えられて新品に近い状態のクオリティなのかもしれないが、ひとつ前の旧型が現行新品の定価よりも高く正規店で販売されている。たとえ新品はなかなか手に入らないとしても、やっぱり不思議な感覚に陥る。
当初はロレックスの参入によって異常な状況が多少なりとも是正されるのではと筆者も少なからず期待していたのだが、現実はそう甘くはなかったというのが実情なのかもしれない。
林氏も「フロアスタッフが認定中古を積極的（売る気があまりない）に売っている感じはしなかった。どちらかというとロレックスがサービスをスタートさせたため、扱っているだけという印象」と語る。
なお、認定中古として扱っていた商品は、基本的にスイスのギャランティが付属している個体。つまり買い取りについてもスイス国内で販売されたものしか行っていないようだとのことだ。
＞＞＞次ページで店内の動画を掲載「スタッフに許可を取って撮影した店内はこんな感じ（動画提供◎林賢治氏）」