2015年に設立されたArcanaut(アルカナート)は、アンダース・ブラントとジェームズ・トンプソンが率いる、デンマークの日本未上陸マイクロウオッチブランド。アルカナートの時計は主に北欧から素材や部品調達を行い、デンマークの首都・コペンハーゲンを拠点に製造されている。アルカナートのミッションは、個性的なデザインの時計でスカンジナビアのクラフトマンシップをアピールすることだそうだ。 アルカナートというブランド名は“知識の旅人”という意味をもち、ダイバーズウオッチやパイロットウオッチといった一般的な時計のジャンルに囚われず、独自のデザイン言語を持つ時計を製造することにこだわりをもっている。
15年に約1年の歳月と3万5000ユーロ(約525万円)以上の投資を行なってファーストコレクションのプロトタイプを製造するが、彼らはその品質に満足をしなかった。理想とする 時計を製品化した場合、あまりに高い価格設定が必要であったことと、デザイン性はもちろんのことプロトタイプの品質が彼らの基準に達してなかったこと、また消費者に対して自信を持って販売できなかったことが理由だったようだ。
シモンとアンダースの両氏は“ゼロからやり直す”という厳しい決断をする。 彼らが理想としているデザインの時計を作るため、母国デンマークで新しいパートナーを見つけ、 製造に関してはジュネーブに拠点を置いて、独自デザインの時計を少量生産しているスイスのメーカーを探し出した。トライアンドエラーを繰り返し、構想から発売までに3年半の歳月を費やして18年に発売されたファーストコレクション、ARC Iは即完売となり、アルカナートは時計ブランドとして本格的に歩を進めることになる。
今回紹介するのは、デビュー作の成功を受けて製作されたアルカナートのセカンドコレクション、 ARC II D' Arc Matter( ARC II ダルク・アークマター)とARC II Fordite(ARC II フォーダイト)だ。 いずれもスカンジナビアデザインの伝統に忠実な“合理的でシンプル”なモデルだが、それと同時にほかにはない素材を採用し、さらに“デンマーク製の時計”という、これまでにないミッションに挑戦した革新的コレクションとなっている。
【画像ギャラリー:アルカナートのディテールをさらにチェック】
Arcanaut(アルカナート)
ARC II ダルク・アークマター
ARC II ダルク・アークマターはアルカナート初となる、デンマークで製造されたコレクションとなる。 ダルク・アークマターと呼ばれるアルカナート独自の素材を使用した文字盤が特徴となっており、この素材はスウェーデン産のスレート石を工業用コーヒーグラインダーにかけ、真空チャンバー内で高圧鋳造された、ARC IIの為の複合素材となっている。石の表面はダークマットな仕上げで文字盤への反射を抑えており、個性を際立たせている。
ケースサイズは縦が42mmで素材は316Lステンレススチールを採用。ムーヴメントはスイス製のソプロッドA10を搭載。 アルカナートを象徴するスクエア型のリューズを備え、風防はサファイアクリスタルを採用。 アルカナートの共同経営者であるジェームズ・トンプソンが夜光塗料でおなじみ、スーパールミノバのメーカーと共同開発したバジュライトが針とアワーマーカーに塗布されている。 人間工学に基づいたラバーストラップが付属しており、50本の限定生産で販売価格は3245米ドル(約45万3000円)。
Arcanaut(アルカナート)
ARC II フォーダイト
次に紹介するARC II フォーダイトもデンマーク製の新コレクションだ。シリーズ名はアメリカ南東部のデトロイトとミシガン州周辺の自動車のフォード工場に由来。 フォーダイトとは、自動車工場の塗装室で長い時間をかけ蓄積された塗料を指している。 ARC II フォーダイトではデトロイトの自動車工場の製造ラインで発生する塗料スラグをアップサイクルした正真正銘のフォーダイトを文字盤に使用している。 このフォーダイトは1970年代から90年代にかけて、フォード工場で使用されていたもので、アルカナートの共同経営者であるジェームス・トンプソン氏が文字盤をハンドメイドで製作しており、それぞれの文字盤に唯一無二のストーリーが生まれる。
サイズは縦41mmで素材は316Lステンレススチールを採用。 ムーヴメントはスイス製のソプロッドA10を搭載。アルカナートを象徴するスクエア型のリューズに加え、文字盤にはスーパールミノバのメーカーと協力開発した夜光塗料バジュライトを使用。人間工学に基づいたラバーストラップが付属し、販売価格は3950米ドル(約55万2000円)。発売時期はまだ未定だが、アルカナートのウェブサイトからメールアドレス登録で、ARC II フォーダイトの発売開始などを知ることが可能だ。
》Arcanaut(アルカナート)
公式サイト
https://arcanaut.watch
文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。
https://www.instagram.com/spherebranding/
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