JACOUES BIANCHI(ジャック・ビアンキ)は、フランス最大の港湾都市マルセイユに工房を構える、フランスの伝説的な時計職人だ。 未上陸ブランドのため、日本での知名度はほとんどないが、1960年代から数十年にわたって時計ブランドや潜水調査会社の要請を受けてダイバーズウオッチを製造してきた実績をもつ。
創業以来、裏方としてプロダイバー用の時計を製造してきた創業者のジャック・ビアンキは、自身の名前でダイバーズウォッチを開発することを決意し、1982年にジャック・ビアンキ200(JB200)を発表する。当初、この時計は限定製造されてフランス南東部のダイビングショップで販売を開始したが、その実用性が認められて1980年後半にフランス海軍にも採用されることになる。記録によれば、約60本が調達に応じて納品され、フランス海軍のヘリコプター ダイバーまたはオンボード ダイバーに採用されたようだ。
初代JB200にはいくつか特徴的なディテールを備えているが、まず目を引くのがケースだろう。1960年代に数多くのブランドからリリースされたスキンダイバーの無骨でシンプルな作り、80年代のダイバーズに見られる堅牢さを併せ持ちながら、ケースデザインは一見して70年代のダイバーズウォッチを彷彿とさせる個性を備えている。ケースは直径42mmと当時のダイバーズウオッチとしてもかなり大振りなサイズで、作業中に手の甲に触れることなく、かつ水中でリューズが直接衝撃を受けないようにするためにリューズは時計の左側に配置されている。初代JB200にはフランス製クォーツムーヴメントのCal.FE 7121が搭載されていたそうだ。
その後、ジャック・ビアンキの時計は休眠状態となり一時的に時計市場から姿を消すことになるのだが、時計職人、時計起業家でありMAT ウォッチの創設者であるファブリス プージェと大手コンサルティング会社ダイレクト レモンの創設者であるシモ テベルによって、ジャック ビアンキ マルセイユとして2021年に復活を遂げることになる。
ジャック・ビアンキは80代となった現在も時計職人として健在で、彼とそのチームは歴史的な時計JB200に現代のニーズにマッチさせるためのブラッシュアップを施し復刻させることを決定。 何カ月にもわたる研究開発の末、デザインDNAを継承したて“2021ジャック・ビアンキ・マルセイユ(2021 JB200)”が完成する。
大手クラウドファンデイングサイト、Kickstarter(キックスターター) で発売されたこのモデルは、79万1406ユーロ(約1億円)という予想を上回る支持を集めて時計の注文が大量に殺到。今でも膨大なバックオーダーを抱える状態となっている。