1951年に誕生して以降、機械式にこだわったウオッチメイキングを続けるオリエントスター。71年に完成して以降、基本設計を継承しつつ50年経って第一線で活躍しているのが46系自動巻きだ。
耐久性に優れた低振動でありながら精度も高く、さらに複雑機構を動かすことができる底力を備え、改良を重ねながら、現在も製造が続けられている。2016年にエプソン統合後は、仕上げや精度などもさらに改善しており、付加機能を与えるほか、新素材を導入するなど時代に合わせたアップデートを実施。現代の基準でも申し分ない性能を獲得している。
その46系の最新型として今年発表されたのが、手巻き仕様の46系F8ムーヴメントである。最大の特徴はエプソンで培ったMEMS技術を応用して独自開発されたシリコン製ガンギ車を採用した点。これにより長時間駆動を実現したほか、精度も向上し、実用性を高めている。
【46系F8キャリバー:機能と美観を高めた最新機】
ブランド70周年とスケルトン30周年を迎えた2021年に、特許を取得したシリコン製ガンギ車を搭載して登場したスケルトンムーヴメントの最新形。自社開発、製造したシリコン製ガンギ車は、エプソンのMEMS加工技術により成形精度が格段に高められている。従来素材よりも軽量化を図ったことで動力伝達効率が大幅に改善され、70時間駆動を実現。脱進機の摩擦軽減と軽量化によって日差+15~-5秒の高精度を実現している点も魅力である。
【編集部のおすすめモデル】
ORIENT STAR(オリエントスター)
クラシックコレクション スケルトン
オリエントスターの創設70周年であり、スケルトンモデル30周年に当たる2021年に発売されたスケルトンの最新形モデル。ムーヴメントを極限まで肉抜きしながらも、日差-5~+15秒の高精度を実現したCal.F8B63を搭載。パワーリザーブが70時間に延長されたほか、精度を向上させるなど、実用性が大幅に高められている。“魅せる”ことにこだわり、ムーヴメントの受けには切削によって波目模様や渦目模様が施されており、ディテールの造形にもこだわりが光る。
■Ref.RK-AZ0002S。SS(38.8mm径)。5気圧防水。手巻き。31万9000円
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エプソンが他の製品開発で培ってきた切削技術で、鮮明な波目模様を施したムーヴメントを実現。受け部分は肉抜きをあえて少なくすることで耐久性が高められている。
ムーヴメントの受けなど、パーツの縁には丁寧な面取りが確認できる。写真中央の青いパーツが、エプソンが開発したシリコン製ガンギ車。接着剤を使用せず強固な嵌合(かんごう)を実現した“回転ずれ防止形状”や、取り付け時の破損を防ぐ“バネ性構造”に加え、世界でも珍しい“鮮やかな青色”と、これには三つの特許技術が含まれている。