今回は1998年にリリースされたパネライの初代ルミノール パワーリザーブ、PAM00027を取り上げる。一番の特徴は、ゼンマイの巻き上げ残量を示す扇形のパワーリザーブインジケーターが6時位置にある点だ。
いまあらためて見ると、ちょっと野暮ったいデザインのパワーリザーブインジケーターも古典的な雰囲気を強めていい感じだ
このパワーリザーブインジケーターは、現在のモデルも含めて、2001年に登場した2代目のPAM00090以降はすべて5時位置に変更されており、６時位置なのは初代だけなのである。しかもインジケーターの目盛りも、初代はアラビア数字を10分ごとに表示してわかりやすい作りなのに対して、2代目以降ははじめの「0」と最後の「40」のみで途中は10分ごとに一般的なバー目盛りというシンプルかつモダンなものになった。
実のところ当時はこのフルアラビア仕様が古臭く感じてあまり良い印象はなかったのだが、20年以上経ったいまあらためて見ると、逆にそのレトロ感がかえっていい感じに思えるから不思議だ。
そしてもうひとつ、初代にはパワーリザーブインジケーターの針に2種類の形状が存在、パネライでよく目にする一般的なリーフ形のほかにアロー形（矢印形）もあった。後者のアロー形は現行モデルのパワーリザーブインジケーターで復活している。
さて、この初代PAM00027だが1998年から2000年までの3年間製造された。裏ブタには「A0000/2000」のように年間製造本数を示すシリアル番号が刻印されており、頭に付くアルファベットで、その個体の製造年がわかる仕組みだ。ちなみに単純でAが1998年、Bが1999年と以降もアルファベット順なのでわかりやすい。
刻印の3段目にあるのが年間の製造番号を表すシリアル番号。写真の個体の場合は頭に「C」とあるため2000年製だということがわかる（2006年に刊行されたパワーウオッチに掲載された写真）
それともうひとつ初期のパネライで知っておいてもらいたい点がある。それはルミノール パワーリザーブに限ったことではないが、初期の個体にはインデックスの夜光素材にトリチウムが使われている。年代的には製造番号のアルファベットがAとB。つまり98と99年製ということになる。ただ、聞くところによるとBの途中から変更されたようで、Bの場合はインデックスの「6」の下に“T SWISS T”と表示されていればトリチウムが使われていることを示しているためここで確認できる。
このトリチウムだが、夜光素材に使われていると経年変化でインデックスが飴色に変色するためレトロ感がグッと増す。そのため愛好家に人気が高く実勢価格も割高になる傾向にある。現在の実勢価格を調べてみると、トリチウム仕様で80〜100万円、通常夜光だと50〜70万円台といったところ。ちなみに掲載した写真の個体は製造番号のアルファベットが「C」のため2000年製造となりトリチウムではない。そのためインデックスの6の下には“L SWISS MADE L”と表記されている。
なお、このルミノール パワーリザーブ、インジケーターが6時位置にある初代は、ここに取り上げた以外に、ブラックPVDケース仕様のPAM00028と2000年に加わったチタンモデル、PAM00057の3タイプがリリースされた。
パネライ
ルミノール パワーリザーブ
■商品データ
Ref.PAM00027
生産終了年：2000年
素材：ステンレススチール
ケース径：44mm
防水性：300m防水（新品時）
駆動方式：自動巻き（ソプロド製Cal.9040）
その他：パワーリザーブインジケーター、日付け表示
【関連記事】
■【気になるちょい古時計｜no.07】 パネライとAMGの希少なWネーム
■【気になるちょい古時計｜No.04】 ゼニスのエル・プリメロを搭載したパネライのルミノールクロノ
■【気になるちょい古時計｜no.11】 チュードル（チューダー）の“クロノタイム”第3世代はいまおいくら？
菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中！
