A.ヨットレースなどのカウントダウンを計測する機能
同企画の前回、前々回で、クロノグラフの機能についてお届けした。
今回は同じくクロノグラフの上位機構である“レガッタクロノグラフ”について紹介する。
赤いアロー針がカウントダウン機能の役割を果たす。ロレックスのレガッタクロノグラフにはさらに、カウントダウン機能をプリセットできるという特許技術も搭載されている
レガッタクロノグラフとは、ヨットレースなどのカウントダウンを計測する機構として開発されたものだ。
写真のロレックス、ヨットマスターⅡを例に挙げると、2時位置のプッシュボタンでセンターのクロノグラフ秒針が動き出し、再び押すとストップ。4時位置のプッシュボタンを押すとリセットされる。
ここまでは通常のクロノグラフと一緒だが、この計測の際、文字盤中央で10から0へと弧を描くよう大きなアロー針も同時に動き出す。
そして1分間に1目盛りずつ動き、最大10分間の計測およびカウントダウンが設定できるという仕組みだ。なおこのアロー針は単独で操作が可能だ。
風を動力に動くヨットは、ほかのレースと異なりスタート地点にピタリと停止して、そこから加速することができない。そこでヨットレースでは、スタートの5分から10分の間に号砲が鳴り、時間が来たら一斉スタートするという仕組み。
そのため、何分経過したかわかる通常のクロノグラフではなく、“残り何分でスタートラインを通過できるのか”を判断するために使われる。
このレガッタ機構の前身である、“5分タイマー機能”は1960年代に登場。フェルサ社が開発したと言われる。
70年代、これをベースに、クロノグラフなど複雑系ムーヴメントの製造を得意としていたレマニア社が10分タイマー機能として開発し、徐々に“レガッタ”という名が知れ渡っていった。
文◎松本由紀(編集部)
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