A.デイト表示はひとつの小窓に日付けを表示するのに対し、ビッグデイト表示は1桁目、2桁目を二つの窓を用いて表示させる
高級時計からカジュアル時計まで幅広く採用されるデイト表示。
一般的には、1〜31までの数字が書かれたカレンダーディスクが、1日にひとつずつずれてひとつの小さい窓に日付けを示してくれる。
ただし高級時計においてはまれに、“ビッグデイト”と呼ばれる大型の日付け表示を備えたものもある。
左が一般的なデイト表示、右がビッグデイト表示
ビッグデイト表示とは1、2、3、空白の4パターン書かれた10の位のディスクと、0〜9までの数字がプリントされた1の位のディスクとを組み合わせて、二つの窓で日付けを表示する仕組み。
普通のデイト表示より視認性に優れるものの機構としては単純ではないため一部の高級ブランドで採用されているものだ。
このビッグデイトが注目されるようになったのは、1994年に発表されたA.ランゲ&ゾーネの初代ランゲ1。なお同ブランドでは“アウトサイズデイト”と呼ぶ。
これは、1841年に創業者のフェルディナント・アドルフ・ランゲの師である宮廷時計師のグートケスと共同で開発した、ドレスデン・ゼンパー歌劇場の5分時計をモチーフにしている。
A.ランゲ&ゾーネのムーヴメント、キャリバーL021.3。10時方向に象徴であるアウトサイズデイトがレイアウトされている
文◎松本由紀(編集部)
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