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【気になるちょい古時計|no.08】かつて独自路線を打ち出していた2000年代前半のチューダー!

 ロレックスのディフュージョンブランド(普及モデル)として1943年に誕生したチューダーは、2000年代前半まではロレックスとの共通パーツも多く使われていたこともあって、ロレックスのもつ高い技術や信頼性とコストパフォーマンスの高さゆえ、日本でも高い評価を得ていた。

 そんなチューダーだったが、1998年頃にチューダー版サブマリーナー、06年にはクロノグラフのクロノタイムと、いまと違って正規輸入されてなかった日本市場で、チューダー人気を牽引していた各コレクションが廃番となり、その後にロレックス色をまったく消し去った、独自路線を強めたモデルの展開を始めたのだった。

(右)ハイドロ1200。Ref.25000。SS(45mm径)。1200m防水。自動巻き。(左)ハイドロノートⅡクロノ。Ref.20360N。SS(41mm径)。200m防水。自動巻き

 今回ここに紹介するのは、そんな当時のチューダーで、1999年にモデルチェンジされて登場したダイバーズウオッチ“ハイドロノート”の第2世代として07年に登場したハイドロノート II で、さらにそのセカンドバージョンとなるハイドロノート II クロノと1200メートル防水を誇るハイドロ1200というハイスペックダイバーズである。

 ご覧のとおり12時位置にあるロゴを見ないとわからないほど、イメージ的にもまったくの別物となっていることがおわかりいただけるだろう。それにしてもハイドロノートは、約10年足らずで3回もモデルが変更するという迷走ぶりだったようだ。

 ちなみに、当時はこのハイドロノートコレクションに加えて、クロノタイムに代わって07年に登場したスポーツクロノグラフ(下の写真)や08年登場のアイコノート、アエロノートというモデルを有するスピードコレクション。

そして09年には、ポルシェ インターナショナル ワンメイク カップのタイミングパートナーとなったことに伴い、その象徴としてモータースポーツをイメージした新シリーズ、グランツアーコレクションと、90年代とはまったく違う3種類のスポーツ系ラインが展開されていた。

クロノタイムの後継機種のスポーツクロノグラフ。Ref.20300。SS(41mm径)。150m防水。自動巻き

 もちろんスタンダード系モデルとして、クラシックコレクションとグラマーコレクションも展開されてはいたのだが、日本の並行輸入市場で流通していたのはほとんどがスポーツ系コレクションのみだった。

 しかしながらこの新展開は、たとえスポーツ系であっても評価は低く、目の肥えた日本人ユーザーの心をつかむまでには至らなかったのである。そして、そんなチューダーが再び注目を浴びたのが、1970年代のチューダー・オイスターデイトクロノグラフのファーストモデルを忠実に復刻させたヘリテージ クロノが発表された2010年だ。

 そして11年にはイカサブの愛称で知られるチューダー版サブマリーナーをモチーフにしたヘリテージ ブラックベイを登場させるなど、チューダーの過去のアーカイブを再現したコレクションが、後のチューダーの主軸となっていったことで再び注目を浴びるようになったというわけである。

 当時の日本ロレックスはチューダーを日本に入れておらず、流通は並行輸入品のみだったため定価はない。では当時いくらだったかというと、並行輸入のロレックスのサブマリーナーデイトが40万円台後半だったのに対して、ここに取り上げたハイドロ2000が約25万円。ハイドロノート II クロノが約28万円、そしてスポーツクロノグラフが約25万円と、うらやましいぐらいにコストパフォーマンスが高かったのである。

【画像】グランツアラーとスピードの写真をチェック!

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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