LowBEAT magazine ロレックス通信 @kikuchiのいまどきの時計考

20万円台から狙えるオールドチューダーの通称“デカバラ”とは何か!

 日本での正規販売がスタートしたいまとなっては日本での呼び名も“チューダー”となってしまったが、ここで取り上げるのがアンティークということもあり記事内では以前の呼び名である“チュードル”を使わせていただく。

 さて、チュードルのロゴマークには、エリザベス女王1世を含む歴代5人の王を輩出した名門チューダー家にちなみ、イギリス王朝のシンボル“薔薇”が採用されたというのは有名な話だが、実はこのロゴマークも時代によって変更されてきている。

通称「デカバラ」と呼ばれるロゴマークを配したチュードルの手巻きオイスターデイト

 公式ホームページによると、当初はそのまま「TUDOR」名だけだったが、1936年から46年までは盾の中に薔薇をあしらった通称“盾バラ”のロゴマークが追加された。それ以降68年までは薔薇のモチーフのみとなった。一般的には小振りな通称“小バラ”だったが、なかにはインデックスの12の位置に大きく配された通称“デカバラ”も存在した。

 そして69年になると薔薇モチーフはなくなり現在の盾をモチーフにしたデザインが採用されるようになったというわけである。今回取り上げるのはこの中の特定のモデルに存在した通称“デカバラ”だ。

 デカバラの特徴は大きめのくさび形インデックスに、鋭いドーフィン針というスタイル。そして大きな薔薇モチーフのロゴマークが12時位置のインデックスの代わりに配置されるというのが一般的で、手巻きムーヴメントを搭載する“オイスター”とそのデイト表示付き“オイスターデイト”、そして自動巻きムーヴメントを搭載する“プリンスオイスター”とデイト表示が付く“プリンスオイスターデイト”の4タイプがある。

デカバラロゴマークの手巻きオイスター(右)と自動巻きのプリンスオイスターデイト

 このデカバラだが、小バラや盾バラよりも人気が高い。やはりこの独特なくさび形のインデックスに加えてドーンと12時位置に鎮座した薔薇モチーフのロゴマークが、現行モデルでは決して味わえない、アンティークウオッチ然とした雰囲気を強調、グッと歴史を感じさせる独特な味わいに引かれるのではないか。

 現在の実勢価格は20万円台ぐらいから流通しているため、もちろんロレックスに比べれば買いやすいし、作りもシンプルでけっこう使える。なお、この手のものを購入する際に知っておきたいのが、購入したいと思った個体がオリジナルの文字盤か、それとも後になって文字盤がキレイに修復された俗に言う“リダン”されているものかどうかということ。この点は必ずショップに確認したほうがいい。

 どちらがいいかは正直なところ人それぞれ。「絶対オリジナル」派もいれば、「いやいや少しでも綺麗なものを着けたい」割り切り派もいる。ちなみに筆者はチュードルのオイスター系であればどちらかというと後者。しかも黒文字盤の推奨派である。

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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