》針もベゼルも排除したユニークなデザインと表示機構
2011年に設立されたRVNDSGN(レイヴンデザイン)はデトロイトに次ぐミシガン州第2の都市で、家具産業でも有名なグランドラピッズを拠点とするデザイン会社だ。オーナーのザック・レイヴンは、自身もインダストリアルデザイナーとしても活躍している人物であり、レイヴンデザインは消費財から輸送、家具、ウェアラブル、多岐にわたるカテゴリーで、長年に渡って革新的なプロダクトデザインを生み出している。
レイヴンデザインが初めて時計をデザインしたのは、2011年のこと。当時、最新の技術として注目を集めていた3Dプリントを駆使して “ RD.01”と名付けられた3針モデルを製作し、クラウドファウンディングで資金調達を実現したのだ。
この“ RD.01”を製作するプロジェクトの成功を土台に、次の試みとして製作されたのが、今回紹介するRVNDSGN(レイヴンデザイン)のファーストコレクションである“M1 Timepiece”だ。このモデルでは、品質へのこだわりをさらに追求し、スイスのメーカーやサプライヤーと提携を実現。ミニマリズムにインスパイアされつつ、完全自社デザインにより、ほかにはない腕時計を生み出すことに成功している。
RVNDSGN(レイヴンデザイン)
M1 タイムピース
レイヴンデザインのオーナー兼デザイナーであるザック・レイヴンによると、デザインの観点から、M1タイムピースの製作で最も困難だったのは、文字盤とサファイアクリスタル風防をできるだけ密接させることだったそうだ。ベゼルレスドーム型サファイアクリスタルの内部には、二層構造のドーム型の文字盤を備えており、3つのマーカーが時刻を表示。サファイアクリスタルの光学特性によりクリスタルの表面に時刻が点灯されているような錯覚に陥る。
外周にデイト表示、その内側に15分単位の分表示、さらにその内側に時間表示のマーカーをレイアウトしており、“5時15分”を表示した上の写真のように、おおよその時間を表示するのが面白い。
もうひとつM1タイムピースで課題だったのはムーヴメントの選定だったそうだ。デザイン過程で独創性を押し出せるパーツのひとつにムーヴメントが挙げられるのだが、自社製ムーブメントの開発を選択せず、堅牢で信頼性の高いスイス製の自動巻きムーブメントを選択。最終的にセリタ社のCal.SW200-1 を採用し、このムーヴメントを基軸にデザインを進めていくことになった。
ケースは316Lステンレススチール、ケースサイズは44mm。反射防止加工を施した文字盤に風防はドーム型の傷つきにくいサファイアクリスタルを採用している。 ムーヴメントはスイス製のCal.セリタ SW200-1を搭載。
残念ながら、現在は公式サイトでは全モデルが“SOLDOUT”の表示となっているのだが、レイヴンデザインのインスタグラムのコメントによると、彼らは大手クラウドファウンディングサイトである“Kickstarter(キックスターター)”で新規プロジェクトの準備を進めているとのこと。クラウドファンディングでの価格は1000米ドル程度(約11万4000円)になるようだ。 レイヴンデザインの公式サイトでの、一般発売にも期待しつつ今後の動向に注目したい。
》RVNDSGN(レイヴンデザイン)公式サイト
https://www.rvndsgn.com
文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。
https://www.instagram.com/spherebranding/