1947年に世界初となるアラーム付きの腕時計が発表され、これがたちまち大ヒットを記録した。この成功に多くのメーカーが続き、50年代後半にはアラームウオッチ全盛の時代を迎えることとなる。
当時、モスクワ第一工場(シュトルマンスキーの前身)でも、アラームムーヴメントの製造に着手。ア・シルド社製のキャリバー1475をベースに、耐震機構などに改良を加えたアラームムーヴメント、キャリバー2612を完成させ、59年にソ連初となるアラームウオッチ“シグナル”を発表した。同作は国内のみならず、ドイツを中心にヨーロッパ各国に輸出されるほど人気を博したという。
ORIGIN
1959年に発表されたシグナルのオリジンと当時描かれたCal.2612のイラスト
そんなシグナルが60年以上の時を経て、シュトゥルマンスキーがよみがえらせた。波長をモチーフにしたアラーム針や個性的なフォントのインデックスなど、オリジンの意匠を継承したレトロなデザインもさることながら、特筆は当時製造されたキャリバー2612を搭載している点だろう。もちろんムーヴメントは再調整されているため、アラーム機能も健在。60年前の人々も聴いた“音”を楽しんでもらいたい。
シュトゥルマンスキー
シグナル
1959年に開発された旧ソ連初のアラームウオッチ“シグナル”の復刻版。当時、搭載されていたオールドムーヴメントCal.2612を搭載するほか、当時の文字盤デザインをいっそう立体的に再現している。波形のアラーム針や特徴的なフォントのインデックスなどの組み合わせがレトロな雰囲気を醸す。オールドムーヴメントを採用するため、限定30本の希少モデルだ。
■Ref.2612-J1。SS(42mm径)。3気圧防水。手巻き(Cal.2612)。世界限定30本。12万1000円(10〜11月頃発売予定)
全面がシースルーとなっていないのは、Cal.2612が裏ブタ内側に付属したピンをハンマーで叩くことで音を出す構造となっているためだ。また裏ブタには、ロシア語で“1959年に初のアラーム時計シグナルが誕生”と刻印されている
設定した時刻になると“ジー”という鈴虫の鳴き声のような音と振動で知らせてくれる。42mmとやや大振りのケース径で存在感もある
【問い合わせ先】
アンドロス TEL:03-6450-7068
https://sturmanskie.jp
文◎堀内大輔/写真◎笠井 修