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誕生から47年、シチズンが再現したソーラーウオッチの原点的モデルとは【語れる名作教えます。|No.09】

》太陽光で動く時計の原点となった幻の時計を再現

 機械式時計がまだ全盛だった1960年代、時計界では機械式時計の限界を超えてさらに精度を高めるための、新しい駆動機構の開発が模索されるようになっていた。その先鞭を付けたのが60年に発表された世界初の音叉時計、ブローバのアキュトロンだが、その後、70年代に入るとクォーツ式の腕時計が登場し、それ以降の時計界は精度が高く、価格も安いクォーツウオッチを中心にして、機能の両面で劇的な進化を遂げていくことになる。

 そんな激動の70年代に、もうひとつ新技術として開発が進められていたのが光発電である。そして腕時計の世界でこの光発電にいちはやく注目したのがシチズンだ。

 現在、光発電“エコ・ドライブ”がシチズンを象徴する基幹技術のひとつとなっていることは広く知られているが、その歴史は意外に長く、70年代の初頭まで遡る。オイルショック騒動など省資源、省エネ意識の高まったことから、光発電のニーズが拡大することに着目したシチズンは74年にソーラーパネルを初めて時計に搭載した光発電時計のプロトタイプを作成。さらに改良を加え2年後に世界初となるアナログ式の光発電クォーツウオッチ、クリストロンソーラセルを製品化させている。

》光発電エコ・ドライブ実用化の土台となった二つの名作

復刻モデルのベースとなった1974年製作のオリジナルモデル。76年に発表された世界初のアナログ式光発電クォーツウオッチ、クリストロンソーラーセルを生み出す土台となった。滑らかなカーブを描くケース、高さのあるカットガラスなど70年代独特の意匠がマニア心をくすぐる。

1976年に発売された世界初の太陽電池充電式のアナログ水晶式腕時計、シチズンクリストロンソーラーセル。その歴史的価値の高さが認められ、2019年に独立行政法人国立科学博物館が選定する重要科学技術史資料である未来技術遺産に登録されている。

 ここで紹介する“エコ・ドライブ プロト”は、そのクリストロンソーラセルの試作品として74年に製作されたソーラーパネルを初めて時計に搭載した光発電時計の復刻版だ。

 単結晶シリコン太陽電池8枚を使用したクリストロンソーラーセルとは異なり、六つに分割されたソーラーセルを配しているのが特徴となっており、クリストロンソーラーセルと比較して、より70年代の空気感を濃厚に感じさせるデザインであることが印象的だ。

 現在では当たり前のように採用されている光発電エコ・ドライブだが、その背景には知られざる開発の歴史が存在している。このモデルは、新技術の実用化を模索した光発電エコ・ドライブの歴史を凝縮したモデルといえるだろう。


》編集部の注目モデル
CITIZEN COLLECTION(シチズンコレクション)
レコードレーベル エコ・ドライブ プロト

 1974年製作の太陽電池搭載プロトモデルを復刻。開発当時の手書き図面を参考に、ケース形状や特徴的な6 分割文字盤、立体的なインデックスを製作しており、当時のオリジナルモデルの雰囲気が見事に再現されている。光発電エコ・ドライブを搭載し、現代のニーズに即した実用性を確保しているのも魅力である。

■Ref. BM8541-82L。SS(38mm径)。5気圧防水。光発電エコ・ドライブ。2万7500円


BM8541-91E
2万7500円


BM8541-74W
2万7500円


BM8545-65H
3万250円


【問い合わせ先】
シチズンお客様時計相談室
TEL:0120-78-4807
https://citizen.jp/collection/record_label.html


文◎船平卓馬(編集部)

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