スピットファイアやフリーガークロノなど、多くの傑作パイロットウオッチを生み出してきたIWC。2021年の新作としてリリースしたパイロット・ウォッチ・クロノグラフ41は、そんなIWCらしい非常に締まった顔つきのクロノグラフだ。
新作としては43mmのビッグ・パイロット・ウォッチ43も同時にリリースされたが、こちらの41mmサイズのほうが小さいぶんシャープな印象が強い。特に最近のクロノグラフは大型化が著しいが、そのなかで41mmサイズというのは程が良く、注目しているIWCファンも多いだろう。
■Ref.IW388104。SS(41mm径/14.5mm厚)。10気圧防水。自動巻き(Cal.69385)。91万3000円
まず印象的なのはサンレイダイアルの色合い。美しいグリーンなのだが、光の当たり方によってさらに深いトーンも出て神秘的な印象だ。この色味の変化を眺めているだけでもかなり楽しめる。文字盤上にはインダイアル三つに加えてデイデイト表示まで備えているが、盤面のデザインはスマートで、インダイアルも段差をつけたことで立体感がある。力強いフォントのインデックスと相まって視認性は高い。それでいてミリタリーウオッチの渋みも感じさせて、クロノグラフ特有のメカニカルな雰囲気も存分に楽しめる。
ケースの厚みは14.5mm。41mmというサイズを考えると、かなりボリュームを感じさせる。プッシュボタンやリューズも大きめで存在感が強いため、厚みと相まって41mmという実寸以上に迫力がある。ただ5連ブレスレットの装着感は非常に良く、装着したときにバランスの悪さや重みを感じさせることはない。ここはIWCの装着感への高いこだわりを感じさせるポイントだ。ちなみにブレスの着脱には、最近のリシュモングループが積極的に取り入れているクイックチェンジシステムが採用されている。ボタンを押すだけで着脱できるので、レザーベルトに交換するのも非常に簡単で、シチュエーションに応じて気軽に付け替えて楽しむことができる。
裏ブタはスケルトン仕様で、のぞけるムーヴメントは自社製のCal.69385。ラチェット式両方向自動巻きシステムを採用しており、ローターをきれいに肉抜きしているので、クロノグラフの動作もちゃんと視認できる。クロノグラフ機構はコラムホイールを採用しつつ、IWCが長年培ってきた秀逸な自動巻きの動作も頼もしい。パワーリザーブは46時間だが、これはもうちょっと長めだとありがたかった。
パイロットクロノグラフで実績のあるIWCらしく、航空機の計器を思わせるデザインは美しくまとまっているし、機能性の高さも魅力的だ。それでいて100万円を切る価格設定はかなりお手頃といえるだろう。ベルト交換がイージーなため、使えるシチュエーションが大幅に広がっており、1本で2度おいしい点も評価できる。長く付き合えるクロノグラフとしてオススメできる1本だ。
【問い合わせ先】
IWC TEL.0120-05-1868
https://www.iwc.com
構成◎堀内大輔(編集部)/文◎巽 英俊/写真◎笠井 修