ここ数年で急速にラインナップを増やしているロングパワーリザーブモデル。今回はオーバースペックともいえる、100時間以上の駆動時間を実現した超ロングパワーリザーブウオッチを厳選して紹介。
100時間に及ぶパワーリザーブと美観を両立した力作
近年、非磁性素材の採用により急激な進化を遂げている耐磁性能だが、もうひとつ高級時計界で必須項目になりつつあるのがロングパワーリザーブだろう。
かつて、機械式時計のパワーリザーブは42時間前後がベンチマークとなっていたが、素材や製造技術の進化により、その基準は大きく変動しており、現在の基準で言えば、70時間パワーリザーブが当たり前という時代に突入している。日常生活に当てはめるならば、土曜日、日曜日に時計を外して過ごしていても、仕事が始まる月曜日に巻き上げなしで時計が動き続けているだけのパワーリザーブということだ。
こうしたロングパワーリザーブ機の代表格といえるのが、次世代の旗艦ムーヴメントであるCal・3235を搭載したロレックスのデイトジャストなどだが、ここでは前述した70時間というロングパワーリザーブの基準を踏まえつつ、それを大きく上回る100時間オーバーという驚異的なロングパワーリザーブを備えた、語りどころのあるモデルを厳選してみた。
》編集部のおすすめモデル-其の1
BAUME & MERCIER(ボーム&メルシエ)
クリフトン ボーマティック デイデイト、ムーンフェイズ
ポインター式デイデイト表示とムーンフェイズ表示が追加されたスモールコンプリケーションモデル。デイデイト 、ムーンフェイズと多機能化を実現しつつ、“ボーマティック”ムーヴメントの大きな特徴である120長時間駆動や高耐磁性といった、優れたパフォーマンスを実現している。ポリッシュとサテン仕上げを施し、ラッカー仕上げのグレーのグラデーション文字盤を引き立てた18金ピンクゴールド製のケース。そこに収まる台形のリベット式インデックス、ゴールドトーンのエレガントなアルファ針、星空を背景に美しいムーンフェイズと、美しい意匠も魅力的だ。
■Ref.M0A10547。K18PG(42mm径)。5気圧防水。自動巻き(Cal.BM14 1975 AC2/120時間パワーリザーブ)。140万2500円
【問い合わせ先】
ボーム&メルシエ
TEL:0120-98-8000
ボーム&メルシエ公式サイト
https://www.baume-et-mercier.com/jp/ja/
》編集部のおすすめモデル-其の2
GLASHÜTTE ORIGINAL(グラスヒュッテ・オリジナル)
SeaQ
第2次世界大戦後のドイツ民主共和国、言わば共産政権時代の当時の国営企業だったGUB(グラスヒュッテ国営時計会社)で作られたという、当時のダイバーズウオッチを復刻させたヘリテージコレクション。アイコンでもある大型のデイト表示を備えつつ、太くて大型の飛びアラビア数字のインデックス、先端が矢印型の分針など、1969年当時のオリジナルモデルの意匠がかなり忠実に再現されている。
ムーヴメントは2016年に発表されたCal.36をベースに、ダイバーズ用に改良を加えたCal.36-13を搭載。100時間パワーリザーブに加え、シリコン製ヒゲゼンマイを採用することで“安定性”“高精度”“長時間駆動”を実現している。
■Ref.1-39-11-06-80-34。ステンレススチールケース(39.5mm径/12.15mm厚)。20気圧防水。自動巻き。112万2000円
【問い合わせ先】
グラスヒュッテ・オリジナル ブティック銀座
TEL:03-6254-7266
グラスヒュッテ・オリジナル公式サイト
https://www.glashuette-original.com/ja
》編集部のおすすめモデル-其の3
PEQUIGNET(ペキニエ)
リュー ロワイヤル アンフォンクション ハンドワインディング
旗艦ムーヴメントである自動巻きのカリブル ロワイヤルをベースに手巻き化し、機能を時刻表示にのみに絞った3針コレクション。付加機能に動力を回す必要がなくなったことでパワーリザーブは約100時間に伸長している。大きな香箱に高トルクゼンマイで納めたシングルバレルのムーヴメントで100時間のロングパワーリザーブと安定した精度を両立し、さらに独自駆動システム“センターシャフト・ドライブ”により、香箱芯及び輪列のズレ/ブレ/ストレスを極限までなくすことで長寿命化に成功。普段使いでも安心できる100m防水を備えている点も好印象だ。
■Ref.9080413/1。SS(42mm径)。100m防水。手巻き(Cal.EPM02)。49万5000円
【問い合わせ先】
カリブルヴァンテアン
TEL:03-6206-2333
カリブルヴァンテアン公式サイト
https://www.calibre21.jp
文◎船平卓馬(編集部)