女性編集者がレディースウオッチの新作を実際に見て、感想を交えて紹介する本企画。今回はLouis Vuitton(ルイ・ヴィトン)の代表的コレクション、タンブール ムーンの新モデル“タンブール ムーン デュアル・タイム”を紹介する。
【モデル紹介】
今回筆者が目を付けたのが、タンブール ムーン デュアル・タイム。ルイ・ヴィトンが2020年3月6日に発表したばかりの新コレクションだ。
ルイ・ヴィトンと腕時計というと、まず頭に浮かぶのはカバンのイメージかもしれない。しかしルイ・ヴィトンには、時計の代表的コレクション“タンブール”をはじめ、ファッションブランドならではの発想を盛り込んだ腕時計が多くラインナップされている。特に本作はルイ・ヴィトンの歴史と、時計作りの歩みを象徴するコレクションだと感じたので、セレクトしてみた。
本製品のベースともいえる時計コレクション“タンブール”が生まれたのは2002年のこと。1540年頃作られていた初期の携帯式時計、ドラムクロックからインスピレーションを得た、ルイ・ヴィトン初の腕時計コレクションだ。
“タンブール”とはフランス語でドラムを意味し、その由来通り、太鼓のような台形を用いたケースデザインで人気を博した。台形のケースはサイドの幅が広いため、デザインのバランスが取りにくいが、ケース側面にもブランド名を表記することで、洗練された引き締まった印象をもたらしている。
タンブールの台形のデザインをベースにして、ケースのサイドをくびれのように内側にカーブさせたのが、2017年に誕生した“タンブール ムーン”だ。100種類以上にも及ぶ付け換えベルトを用意するなど、ファッションブランドならではのアイデアを存分に盛り込んでいるのも特徴だ。
そしてタンブール ムーンの造形美に、二つの時間帯を同時に確認できるデュアルタイム機能を搭載したのが、今回紹介する“タンブール ムーン デュアル・タイム”だ。
このデュアルタイムの表示について、デザインを含めて詳しく説明していこう。まずデュアルタイムの確認の仕方について解説する。
文字盤中央部分のバーインデックスでは、一般的な時計と同様、ホームタイムを確認することができる。そして文字盤外周部に配された24時間表記のインデックスで、第2時間帯の時刻を表示しているというわけだ。モノグラム・フラワーシェイプの1本針が、第2時間帯の時刻を指し示しているのだが、ホワイトとブラックのバイカラーを用いることで、朝と夕方の6時を境に昼と夜をひと目で確認できるように工夫されている。
また、文字盤を囲うように配されたモノグラムは、淡いグレーカラーを採用。モノグラムとモノグラム・フラワーシェイプのGMT針が、その重なり方で影のように見えるのも、とても素敵だと感じた。
もうひとつ個人的に推したいのが、今回初めて採用された24時間表記のインデックスだ。旅行カバンの先駆け的ブランドとして名を馳せた、ルイ・ヴィトンの歴史を感じさせるデザインといえるだろう。
機能性だけでなく、デザイン面でも新しく盛り込まれたのが、すり鉢状に傾斜がつけられた文字盤。モノグラムとバーインデックス部分に傾斜を、中央の文字盤はフラットに加工され、立体感を感じるデザインに仕上げられている。
さらに文字盤中央やモノグラム部分にサンレイブラッシュ加工を採用することで、オールシルバーカラーの文字盤のなかにコントラストを演出。凹型の文字盤と相まって、光の当たり具合で異なる表情が楽しめた。
【装着感は?】
ムーヴメントにクォーツを採用しているため、着け心地は軽やかで心地が良い。取材当日はエピ・レザーのベルトが着けられていたのだが、マットな質感で肌触りが良かった。
ケース径は35ミリとレディースにしては少し大きめだが、ケースサイドがくびれのようにシェイプしている点に加え、ラグの上部を30°ほどカットしたことでシャープなデザインに仕上げられており、見た目の印象は、さほど大振りには感じなかった。
【推しのポイント】
簡単で力いらず、ワンタッチで付け換えができるベルト
特許取得のワンタッチで少しの指の力で簡単に付け換えができるのもポイント。爪も使わないのでネイルも傷つけず、女性に優しい仕様だ。
また本モデルもルイ・ヴィトンファンにおなじみのモノグラム、エピ・レザーなど様々な種類のベルトが用意されており、ルイ・ヴィトンの憧れのモチーフを日換わりで楽しめるのも嬉しい。そんなバッグと同じデザインのレザーを時計のベルトでも楽しめるのが、乙女心をくすぐるポイントといえる。
着けているだけでワクワクする、語りどころ満載の1本。モチーフや意匠のひとつ一つに、ルイ・ヴィトンのこだわりや物語が隠されているのも素敵だ。
同じ35mm径でラグにダイヤモンドをあしらったモデルや、レッドカラーのバリエーションもあり、さらにブラック&ホワイトには39mm径サイズも用意があるので、そちらもぜひチェックしてみてはいかがだろうか。
文◎佐波優紀(編集部)
【問い合わせ先】
ルイ・ヴィトン カスタマーサービス
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ルイ・ヴィトン 公式サイト
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