女性編集者がレディースウオッチの新作を実際に見て、感想を交えて紹介する本企画。今回はTiffany & Co.(ティファニー)2019年10月に発表された新コレクション“ティファニー 1837 メイカーズ”を紹介する。
【モデル紹介】
1837年、アメリカ・ニューヨークにて、ファンシーグッズとステーショナリーグッズのショップとして開業したティファニー。
個人的にティファニーというと女性が憧れるジュエラーというイメージが強かったのだが、実は時計ブランドとしても長い歴史と実績を持つ老舗であるのだ。
ティファニーの時計ブランドとしての歴史がはじまったのは1853年。創業者のチャールズ・ルイス・ティファニーが公共時計“アトラスクロック”をブロードウェイ550番地に旗艦店に設置したのがきっかけだ。
精度の良い時計をまだ市民が持てなかった当時。アトラスクロックは多くの市民に正確な時刻を知らせることで、政治や経済が盛んな現在のニューヨークへと発展を遂げる一役を担ったのかもしれない。
また意外な事実だが、1868年にはアメリカ初のストップウオッチ“ティファニー タイマー”を発表。当初は販売をメインとしていたティファニーだが、商品の品質を見分ける目利きや、ストップウオッチのエピソードが裏付ける先見の明を武器に、ブランドとしての地位を確立していった。
そんなティファニーのクラフトマンシップが詰め込まれたのが、今回の新コレクション“ティファニー 1837 メイカーズ”だ。
ティファニー 1837 メイカーズは“Tiffany & Co.”の頭文字である“T”からインスパイアされたコレクション。ホワイトの文字盤や、ベゼルにダイヤモンドが配されていないものなどバリエーションは様々あるが、今回はティファニーの代名詞ともいえるカラー、“ティファニーブルー”の文字盤をセレクトした。
文字盤は塗料の吹き付けと乾燥を何度も繰り返すラッカー仕上げが施され、上品な光沢感が楽しめる。
またスクエアが何重にも重なるように仕上げが施された文字盤は、対角線上の上下、左右でそれぞれ、光の当たり具合により色味に濃淡が生まれるのも面白いと思った。
文字盤の仕上げも美しいが、何と言っても目を引くのがベゼルに配されたラウンドブリリアントカットだ。
実際に腕にのせてみると、光の当たり具合で七色に輝くのが見惚れてしまうほど美しい。この七色は、緻密に計算されたカッティング面が少しでもずれると虹色にならないのだという。
12・3・6・9時位置に配されたバケットカットダイヤモンドもすべて、自社工房のカットおよび研磨の専門職人により仕上げられたもの。さらに使用するダイヤモンドにもクラリティグレードスケール(内包物や傷が無いことの程度を示す)で一定の基準を満たすもののみを採用するなど、高品質のダイヤモンドのみを使用。美しいダイヤモンドの輝きやカッティング技術を楽しめる贅沢な時計だ。
またケース側面には、自社工房であるホローウェア工房への敬意を表すように“T & CO MAKERS”、“NY”のホールマークが刻印されているのもポイントとなっている。
【装着感は?】
小振りなサイズなので、ラグの角が腕にあたることもなく、着け心地も良い。また全体的に軽くて腕への負担も少ないので、長時間ストレスなく着用できそう。
時計単独で着用するのでも十分素敵だけれど、ワンポイントでダイヤモンドが配されているため、ジュエリーとの相性も良い。
【推しのポイント】
“ティファニー ダイヤモンド鑑定書”が付属する確かな品質
ティファニーが設ける厳格な基準をクリアしたことを証明する“ティファニー ダイヤモンドカード”。メイカーズコレクションではこのカードが付属する。ジュエラーとしてのこだわりが込められているのも素敵だ。
性別の垣根なく着けられるジェンダーレスなデザイン
本記事では小振りの22mmサイズをレディースモデルとして取り上げているが、実はレディース用、メンズ用と明確に分けているわけではなく、27mmの自動巻きモデルもサイズ感、デザインともに女性にもよく合う。
マニッシュなデザインはケース、特にラグ部分によく表れている。ラグは若干の丸みをつけながらほぼ直角に近い形状をしており、文字盤の華やかな印象とは異なる、スタイリッシュな雰囲気を感じる。
実はラグジュアリーブランドで初めて同性カップルを起用したブランドでもあるティファニー。ジェンダーレスという考え方が先進的だったニューヨークのブランドらしい発想が、時計のデザインにも表れていると感じた。
ティファニー・タイマーやティファニーセッティングなど、時計とジュエリー産業に新しい風をもたらしてきた同ブランド。“女性らしさ”にとらわれず、人生を自分自身の力で切り開く活動的な女性をイメージさせる本モデルは、ティファニーらしい心から素敵な時計だと思った。
*スペック*
文◎佐波優紀(編集部)
【問い合わせ先】
ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク
TEL:0120-488-712
https://www.tiffany.co.jp