スペシャル ドイツ時計 @kikuchiのいまどきの時計考

37mmと細身の人にもシックリくる! モリッツ・グロスマンの小振りでスマートな大人のドレスウオッチ

 手作りにこだわるドイツの高級時計メーカー“モリッツ・グロスマン”。19世紀の古典設計にこだわりパーツの90%以上を自社内で製造するというオリジナルのムーヴメントは、完成度が高く実に美しい。そのため時計愛好家の間からも高い評価を得ている知る人ぞ知る存在だ。

 そんなモリッツ・グロスマンが展開するコレクションのなかから今回は、2019年新作として新たに黒文字盤がラインナップに追加されるなど選択肢の幅も広がった“ベヌー37”を取り上げてみたいと思う。

 このベヌー37は、名前が示すようにケース径が37mmというモリッツ・グロスマンのメンズのラインナップのなかでは最も小振りなコレクションとなる。

(右)Ref.MG-001859。K18RG(左)Ref.MG-001863。K18WG(37mm径)。日常生活防水。手巻き(Cal.102.1)。各352万円

 これは、もともと細身の日本人にピッタリなサイズとして、日本からの提案で開発され2018年に商品化されたものだ。しかし、評判が良かったことからグローバルでの展開も行われたというものである。つまり、それほど完成度としても高かったということも言えるだろう。

 既存のシルバー文字盤タイプ(写真上)は、手書き風で古典的なアラビア数字のインデックスに対して、グロスマンのアイコンでもあるシャープでスッと伸びたブラウンバイオレットカラーのロザンジュ針が絶妙に調和し、時間が見やすいだけでなく、そのスタイルも実に品がいい。

シースルー仕様の裏ブタから見られる手巻きキャリバー102.1。毎時2万1600振動。48時間パワーリザーブ

 ムーヴメントは同社初の小径薄型機として2015年に開発された手巻きキャリバー102.0を刷新し、より堅牢性が高められた102.1を搭載する。グロスマンならではの5分の3プレートにはジャーマンシルバーを採用。縦に入る4本のリブ模様、テンプ受けの繊細なハンドエングレービング、そして軸受けのゴールドシャトン留めと、19世紀の懐中時計にみられたグラスヒュッテ様式が手作業によってふんだんに盛り込まれており、見るものを飽きさせない。つまりそれほどに仕上げが美しいのだ。

 一方の今回18金ホワイトゴールドケースのみに追加された黒文字盤タイプは、そんな古典的な味わいが魅力のシルバー文字盤とは対照的に、モダンで洗練された印象を受ける。

ブラックポリッシュ仕上げによって美しい鏡面に磨きこまれた針はすべて手作業によるもの。そのため鋭くも実に美しい

 ロザンジュ針はブラウンバイオレットではなく、ブラックポリッシュ仕上げによって美しい鏡面に徹底して磨き上げられ、インデックスにもホワイトプリントを採用、全体をシンプルなモノトーンで構成しており、精悍さが際立つデザインとなった。シルバー文字盤とこれだけハッキリとテイストが違うとユーザーにとっては逆に選びやすいのではないか。

Ref.MG-002267。K18WG(37mm径)。日常生活防水。手巻き(Cal.102.1)。352万円

 そして37mmというこの程よいケースサイズに加えて厚さも9mmと薄くYシャツの袖口にもしっくり納まり着けやすい。このサイズ感の素晴らしさはぜひ実機を手にとって確かめてもらいたい。きっと着けたときのバランスの良さをあらためて実感するに違いない。

文◎菊地吉正(編集部)

問い合わせ先
モリッツ・グロスマン ブティック TEL.03-5615-8185

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。

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