オリエントスターの誕生は1951年。実に70年近くもの長い歴史を持つ国産時計ブランドだ。後にクォーツウオッチが全盛になった時代でも、機械式時計にこだわり、現在まで絶えることなく製造を続けていたというから驚きだ。
こうした背景もあってオリエントスターに対して“良質な機械式時計を展開する国産ブランド”というイメージを持っている人は多い。もちろん実際にも、搭載する機械式ムーヴメントは価格に比して優秀であるし、実用かつ信頼性の高い機械式モデルを展開している。
そんな同ブランドのラインナップで筆者が気になっているのは、2019年に入って充実させている“スポーツコレクション”だ。タフな見た目の“アウトドア”に続き、200m空気潜水用防水対応の“ダイバー”、そしてスポーティな“セミスケルトン”と、相次いでニューモデルをリリース。近年はクラシック路線にやや寄っていた感があるだけに、スポーツモデルの充実に喜んでいるファンは結構多いのではなかろうか。
そこで、このスポーツコレクションのなかでも話題を集める“ダイバー”と“セミスケルトン”を実際に見て、触って、実力を検証。使用感なども交えたレポートをお届けしたい。
>>PICK UP MODEL 01
ダイバー
■Ref.RK-AU0304L。SS(43.6mm径)。200m空気潜水用防水。自動巻き(Cal.F6N47)。世界限定1200本(国内500本)。9万9000円
オリエントスターとしては、数年ぶりのレギュラー展開となるダイバーズウオッチ。もちろん“ダイバーズウオッチ”を名乗る以上、ISO規格を満たした本格派であるため、本作では機能面よりもむしろ秀逸なデザインに注目したい。
本作のデザイン的な大きな特徴が、インデックスや針、ベゼルの目盛りなど随所に楕円のフォルムを採用している点だろう。これは、ともすればボテっとした印象を与えてしまうのだが、ディテールの凝った造形や絶妙なカラーリングで、見事に精悍な雰囲気を演出しているのがダイバーの秀逸なところだ。
例えばインデックスひとつとってもこだわりが詰まる。夜光塗料を流し込む体積を増やすために箱型を採用しているが、同時にゴールドカラーのフチを付けることで立体感を強調させている。視認性を追求しつつも表情にメリハリを付けているというわけだ。
またスポーツウオッチでは、実は意外と少ないパワーリザーブ表示を備えている点も見逃せない。50時間のパワーリザーブは、正直なところ現在の基準からするとやや物足りなさを感じるが、機械式時計にとって役立つ機能であることは間違いないし、デザインにおいても重要なアクセントとなって独自性を際立てている。
加えて、深みのあるネイビーに高級感を増すゴールドカラーを組み合わせた色使いもいい。ゴールドカラーは、まるでアンティークのような渋い色合いを採用しており、色で主張しすぎていない点も個人的に好みだ。
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ベゼルは刻みを細くつける一方、ケースには目の深いサテン仕上げが施されている。力強さと繊細さを同居させることで、機能的な雰囲気が強調されているのだ。
高輝度蓄光塗料のルミナスライトを流し込んだ箱型インデックス。実際に暗所で着用してみたが、針とインデックスがくっきりと表示されるため、視認性は抜群にいい。
ケース径は43.6mm。サイズだけ聞くと大振りだが、全体的に丸みを帯びているためか、手首にしっくりと納まって見える。ただ、ダイバーズウオッチだけに厚みは14mmとそれなりだ。
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セミスケルトン
■Ref.RK-AT0104E。SS(43.2mm径)。20気圧防水。自動巻き(Cal.F6R42)。9万3500円
近年オリエントスターを象徴する意匠ともなっているセミスケルトン。本作はそのセミスケルトン文字盤にスポーティな外装を与えて既存のイメージを覆した意欲作だ。
ずばり、その魅力はメカニカルな造形が楽しめると同時に、普段使いに適した実用性を兼ね備えている点に尽きるのだが、こうした組み合わせで展開されるモデルは他社を含めてこれまでほとんどなかった。
と言うのもの、クラシックなテイストが強すぎるセミスケルトン文字盤が、スポーティな外装になじみにくかったためである。
しかしその点、本作では異なる二つのテイストをうまく融合させている。
グリーンカラーにサンレイ仕上げを施して上品さを演出しつつも、一方で大振りなアラビアインデックスやダイバーと同様の針を組み合わせてスポーティさを強調した文字盤デザイン。表情を引き締めるブラックカラーのベゼルに対して、多面カットによるシャープな印象に仕上げたラグをもつケースなど、外装は随所にこだわりが光る。
他方、20気圧防水や第1種の耐磁性能(磁気に5cmまで近づけてもほとんどの場合性能を維持できるレベル)を備えるなどスポーツコレクションにふさわしい優れた性能も魅力だ。
メカニカルな造形美を主張した意匠とスポーツウオッチならではの使い勝手の良さを備えたセミスケルトンは、カジュアルスタイルをぐっと格上げしてくれる1本と言えるだろう。
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開口部からは機械式ムーヴメントのテンプ部分が見える。動きがよく見えるよう改良された受けは、丁寧な磨きも施され、美観を高めている。
実際には文字盤カラーはグリーンだが、光の当たる角度によってブルーっぽくも見える。またサンレイ仕上げが施されており、一見派手な印象だが、意外と落ち着いた色合いなので着けやすい。
Variation
(左から3モデル)Ref.RK-AT0101B、RK-AT0102 Y。RK-AT0103Y。各9万9000円
(左から4モデル目)Ref.RK-AT0105B。世界限定700本(国内500本)。10万1200円
(右端のモデル)Ref.RK-AT0106E。プレステージショップ限定(替えの革ベルト付き)。11万円。
文◎堀内大輔/写真◎笠井 修(イメージ&ディテール)
【問い合わせ先】
オリエントお客様相談室
TEL:042-847-3380
オリエントスター公式サイト
https://www.orient-watch.jp/orientstar/index.php
スポーツコレクション特設ページ
https://www.orient-watch.jp/orientstar/cat_sports.phpp