アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
セイコー
キングセイコー“56KS”
1970年製造の、キングセイコー第3世代の56KS。
56KSと言えば、44GSによって確立された“セイコースタイル”を彷彿とさせる、エッジをきかせたケースデザインを思い浮かべる人も多いだろう。
だが、今回紹介するモデルはそれとは対照的に曲線を基調としたやわらかなケースデザインをもつ1本だ。1970年代らしい特徴的なトノー形のワンピースケースは、なんとも言えない愛嬌を感じられる。
しかし、ケース裏面はセイコーらしいかっちりとした造形で、中央部にはKSのメダリオンが鎮座している。
さらにこのモデル最大の特徴として、6時方向のラグ間にあるネジを開けることで中の緩急針を調整できる、“外部微動緩急調整”機能が備わった点も見逃せない。これはグランドセイコーにも見られない、ワンピースケースの56KSだけにあたえられた調整用機能だ。
こういった目に見えない隠れたギミックは、精度を追求していた当時のセイコーらしさを感じる。また、カレンダー機能をこぞって採用していたこの年代の時計としては珍しく、カレンダー機能をもたないノンデイトモデルですっきりとした文字盤デザインだ。56系のウィークポイントとも言えるカレンダー機構がついていないことも、実用を考えている人にはうってつけだろう。

【商品詳細】Ref.5621-7000。SS(36mmサイズ)。自動巻き(Cal.5621A)。1970年頃製。11万8000円。取り扱い店/SELECT ショップページに移動
【画像:ラグの間にある調整用機能ほか、様々なアングルから見る】
キングセイコーと言えばエッジの効いた鏡面ケースが第一に挙げられるが、角がなくスリムなケースは袖に納まりやすく、サテン仕上げを施すことによってぎらつきを抑えているので悪目立ちしない。面倒な腕時計論争に巻き込まれそうになれば、時計をスーツの袖に隠すことで、角を立てることなく華麗にスルーできるだろう。初めての国産アンティークを探している人、落ち着いたビジネスウオッチを探しているという人にはぜひチェックしてもらいたい1本だ。
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文◎LowBEAT編集部