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【今後入手はますます難しくなるかも!?】オールドロンジンを代表するクロノグラフ

現在はスウォッチグループの中堅ブランドという位置付けのロンジンだが、かつては高精度ムーヴメントを得意として、ハイビート機ウルトラクロンで他社を圧倒していた実績がある。さらにマニュファクチュールとして、堅牢性と仕上げの美しさに優れたクロノグラフも多く手がけていた。

モバード、ミネルバ、ユニバーサル・ジュネーブ、エクセルシオパークなど、1920~60年代にクロノグラフムーヴメントを自社製造していたブランドはほかにもあるが、なかでもロンジンは別格の存在だと言える。メンテナンスを考えた設計でありつつ、パーツの配列やその仕上げは非常に念の入ったものであり、いまでも多くのアンティークウオッチファンを魅了している。

オールドロンジンのクロノグラフでも、特に名機の誉れが高いのがCal.13ZNだ。1936年に開発された同社初の腕時計フライバッククロノグラフで、ストップ&リセットで計測を止めることなく、何度もボタンを押さなくても連続して計時ができるフライバック機能は、航空機のパイロット、あるいは陸上競技などスポーツの計測用として、この時代に大きくニーズが高まっていた。

【画像:シルバー2トーンが美しい、クロノグラフモデルを見る】

しかし、ただでさえパーツ数の多いクロノグラフにフライバック機構を追加するには、パーツが納まるスペースを確保するのに大いなる苦労があった。Cal.13ZNでは中間車をブリッジに埋め込むなど、かなり大胆な設計を採用している。それでいてパーツは肉厚で耐久性が高く、当時でも相当な製造コストがかかっていたことをうかがわせる。

Cal.13ZNの後を受け継いだ名機が、1947年に発売されたCal.30CHだ。ロンジンのクロノグラフとしては最後の名機と呼ばれるこのムーヴメントは、どうしてもコストが高くつくCal.13ZNの設計を見直したもので、爪を廃したリセットレバーでバネの動作に依存しない設計が成されていた。そのためパーツ配列もわかりやすくなり、メンテナンス性も向上している。

Cal.30CH/画像◎クールビンテージウォッチ

 

Cal.30CHは1960年代まで製造され続けたが、やはり製造コストの高さはネックになり、その後はクォーツムーヴメントに淘汰されていった。ロンジン自体も83年にスウォッチグループの傘下に入り現在に至っている。

前述したようにオールドロンジンのクロノグラフは、設計自体の美しさに加え、パーツの仕上げも非常にハイレベルで、マニュファクチュールキャリバーとしては最高峰に位置付けられている。ケースもステップベゼルを採用していたり、トレタケと呼ばれる裏ブタに爪が入った防水ケースだったりと、アンティークウオッチとして楽しめるポイントが多い。

市場でも状態の良いオールドロンジンはかなり希少になっているが、昨今の新作時計の値上がりを考えると、このクオリティのクロノグラフがいまの取引相場で手に入るなら、まだ割安感がある。今後はどんどん流通量が減っていくことは間違いないので、狙っている人には早めの入手をおすすめする。

 

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