海外ブランドとは異なる進化を続けてきた日本の時計ブランド。近年は、シチズン、オリエントなど、ムーヴメントを自社で手がけていた日本の大手時計メーカーがハイエンド機から、手頃な価格の汎用機まで、幅広い価格帯で国産の機械式モデルがラインナップを増やしている。
セイコーのTMIやシチズングループに属するMIYOTAは自社の汎用ムーヴメントを外部に供給しているが、こうした近年の動向は機械式時計を展開する新興国産ブランドの創設にも大きな影響を与えた。ムーヴメントの供給を受け、機械式時計を展開する新興の“マイクロブランド”が次々と誕生しているのだ。
厳密な定義があるわけではないが、“マイクロブランド”とは数百個単位で商品を製造し、ＢtoＣ（企業が直接ユーザーにプロダクトを提供）での販売を主体とする小規模の時計ブランドを指す。
ベンチャー企業のようなものなので、大手にはない独自のコンセプトやデザインを楽しめるのが特徴で、価格以上に満足度の高いモデルも少ないない。ただし、なかには休眠状態に近いブランドもある点は留意しておきたいところだ。
今回は、玉石混交の国産マイクロブランドから、継続的に新作を発表してコレクションを拡充している、信頼性の高い3ブランドを厳選。時計好きのツボを心得た、イチオシモデルを紹介していく。
■Ref.sm90011-gr。SS（38mm径）。20気圧防水。自動巻き（MIYOTA Cal.9039）。11万3000円（ドイツ製革ベルト付属）
KUOE（クオ）
ソンブレロ 90-011（グリーン文字盤）
伝統が息づく京都で2020年に創設。創設者の内村健二氏が、ロンドン留学中にアンティークウオッチに出合ってその魅力に取りつかれたことが“クオ”誕生のきっかけとなっており、機械式時計の黄金期である1940～70年代の時計デザインにフィーチャーしつつ、現代的にアップデートを施したモデルを展開している。
新作ソンブレロはブランド初のダイバーズウオッチだ。38mmとダイバーズウオッチとしては小振りだが、インナーベゼル、逆台形の大きなリューズを搭載したオールドダイバーズ風のデザインが目を引きつける。
20気圧防水を備え、ムーヴメントは国産ムーヴメントの最高峰として名高いMiyota製のCal.9039を搭載。しかも、2万A/mまで、2種耐磁時計に相当する耐磁性を有している。これは磁気に1cmまで近づけてもほとんどの場合性能を維持できるレベルだ。
時計好きのマニア心をくすぐるデザインに加え、シチュエーションを選ばずに使えるサイズ感、実用性の高さも大きな魅力と言えるだろう。
【問い合わせ先】
クオ グローバル
info@kuoe-jp.com
※メールにて問い合わせに対応
■Ref.YK20233-2WH-HC。SS（36mm径）。5気圧防水。自動巻き（Cal.Miyota 9039）。6万500円
OUTLINE（アウトライン）
369スペシャル（ハニカムホワイト）
東京、赤坂を拠点に機械式時計黄金期の名作からインスパイアされたコレクションを展開する国産ブランドの新鋭“アウトライン”。本作は“3・6・9”のアラビアインデックスが代名詞の往年の傑作モデルをデザインモチーフに、1950年代初期の個体だけに存在したハニカム文字盤（格子状の装飾を施した文字盤）を再現した同ブランドの人気モデルだ。
ゴールドのアプライド（立体化）仕様に仕上げた369アラビア数字とくさび形インデックスを配置しており、ホワイトハニカム文字盤とのコンビネーションがヴィンテージ感を高めている。
ケースはオリジナルの雰囲気を再現するために同じ36mm径のデザインで、8mmのビッグリューズとドーム状にふっくらしたプラスチック風防を装備。ミドルケースのサイドラインが若干柔らかな曲線となっており、ネジ込式の裏ブタは50年代のロレックスのセミバブルバック風に仕上げている。
ムーヴメントは日本のミヨタ製の中でもいちばんに薄型で毎時2万8800振動の高性能自動巻きキャリバー、9039を搭載。ケース厚が9.9mmと薄型で、袖口に引っ掛かることなく快適な装着感を実現しているのも魅力だ。
【画像】アウトライン“369スペシャル”を、別アングルで見る
【問い合わせ先】
シーズ・ファクトリー（編集部）
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