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実用できるアンティーク時計が欲しいなら、IWCの【ペラトン自動巻き】がおすすめ

アンティークのIWCは、“オールドインター”の愛称で広く時計ファンに親しまれている。デザイン的にはシンプルで質実剛健。これはIWCがスイスでもシャフハウゼンというドイツ語圏に本社があることに起因しているのかもしれない。道具としての時計というコンセプトを徹底的に追求しており、見やすいデザイン、高い精度と耐久性、メンテナンスへの配慮などを大事にした設計思想が貫かれている。

オールドインターの世界に魅せられた時計ファンは多いが、初心者にとって狙い目は“ペラトン式”と呼ばれる自動巻きムーヴメントを積んだモデルだろう。1950年から70年代後半に至って製造されたロングセラーで、実用面での秀逸さでIWCの名前を大きく知らしめた傑作だ。しかもいまでも市場での流通量が比較的潤沢で探しやすく、価格も同時代のロレックスの1500系キャリバー搭載機などと比べるとかなりこなれている。質では決して引けを取らないだけに、お値打ち感は高い。

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ペラトン式は当時の技術責任者だったアルバート・ペラトンが開発したムーヴメントで、人気を集めつつあった自動巻きモデルの開発が、まだ技術力の高い一部メーカーに限られていた時代の産物だ。製造コストを下げるために組み立ての効率をアップしつつ、耐久性と精度は高レベルをキープするという命題に答えたものだった。爪で中間車を引っかけて巻き上げ効率をアップすると同時に、激しい巻き上げに対応するために摩耗を抑えた設計を導入。さらに巻き上げ用のローターとラチェットを分離設計することで、ローターに耐衝撃性をもたせ、強い衝撃によるトラブルを最小限に抑えることに成功している。パーツは肉厚なものを採用しているため耐久性は高かったが、その設計構造もあって初期のペラトン式はかなり厚みがある。これも世代を重ねるごとに薄型化が図られていった。

最初のムーヴメントCal.85は1950年に発表されており、これはかなりレアだが、その後にCal.852系→853系→854系と進化を重ねて、徐々に設計も洗練されていった。日付け表示付きやハック機能付きなどのバリエーションも生まれており、当時のIWCの豊富な製品ラインナップを支えていた。特にオススメできるのは、ペラトン式の完成形と呼ばれる853系以降のモデルだろう。いまでも状態が良く、十分実用になる個体が多く見つけられる。

 

次ページで、ペラトン自動巻きを搭載した往年のIWCをご紹介。

 

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