業界唯一のアンティーク時計の専門誌「ロービート(LowBEAT)」編集部が毎週水曜日にお届けしているアンティーク時計初心者向けの入門記事。今回はオールドインターことアンティークのIWCについて解説したいと思う。
オールドインターといえば真っ先に思い浮かぶのは航空時計でありイギリス軍に制式採用された手巻きの“マークシリーズ”だろう。しかし入門機として狙うのであれば、ペラトン自動巻きを搭載したモデルがおすすめだ。
理由は高い信頼性と高精度、そして高い巻き上げ効率を誇る自動巻きムーヴメントの傑作として、すでに取り上げたロレックスの1500系やオメガの550系と並ぶ存在だからだ。
1950年に開発されたキャリバー85に代表されるペラトン自動巻き最大のメリットは、ラチェット式という機構を採用したことで少ない巻き上げ角度でも効率よくゼンマイが巻き上がる点だ。
これを搭載したモデルには、耐磁時計の“インヂュニア”、ダイバーズウオッチの“アクアタイマー”、そしてスポーツウオッチの“ヨットクラブ”などペットネームが付く有名モデルが名を連ねる。特に前者二つについては、アンティークとなると100万円以上と高額になるため、入門機として挙げるにはいささか厳しい。そこでおすすめしたいのは三つ目に挙げたヨットクラブだ。
キャリバー854が搭載されて67年にリリースされたこのヨットクラブだが、ムーヴメントをインナーケースに入れて五つのゴムパッキンで宙吊りにし耐震性を高めるなど実用性は高い。これは後にインヂュニアにも採用されたほどだ。
見た目は地味だが実のところデザインをしたのは、オーデマ ピゲのロイヤルオークやパテック フィリップのノーチラスのデザインで知られるジェラルド・ジェンタと奥は深い。しかも20万円台から手に入れられるというのも大きな魅力だ。
【ペラトン自動巻きムーヴメントリスト】
Cal.85(1950年)・・・センターセコンドを採用したIWC初の量産型自動巻き
Cal.852(1952年)・・・Cal.85の毎時1万8000振動から1万9800振動へ
Cal.8521(1952年)・・・Cal.852のデイト付き
Cal.853(1958年)・・・ペラトン自動巻きの完成機
Cal.8531(1959年)・・・Cal.853のデイト付き
Cal.854(1964年)・・・Cal.853を小型化したムーヴメント
Cal.8541(1964年)・・・Cal.854のデイト付き
Cal.854B(1976年)・・・Cal.854の再改良版
Cal.8541B(1976年)・・・Cal.8541の改良版
【LowBEATマーケットプレイスのヨットクラブをチェック】
文◎LowBEAT編集部
【おすすめ記事】
■【アンティークのロレックスが欲しい】 でも何を買ったらいいのか?
■【オメガのアンティーク時計がほしい】初心者は何を買ったらいいのか?
■【“おじさんっぽい”ってイメージはもう古い!?】金価格の高騰で注目されるゴールド系ロレックス
■冬の装いに「金×革」で大人っぽく古デイトジャストを楽しむ
■【どの“バラ”がお好き?】製造年代によって違う、チュードルのロゴマークの変遷