日本の時計といえば、セイコーやシチズン、カシオが代表格だが、実は全国にはまだ知られていない個性派ブランドが数多く存在する。今回は、日本を舞台に職人の技と情熱が詰まった国産の珍しい時計ブランドを取り上げる。街の復興を目指すブランドや、独創的なデザインを追求する新進気鋭のブランドなど、魅力的な時計が勢ぞろいだ。知る人ぞ知るブランドがどんな背景で生まれたのか、独自の世界観をもつ時計たちと合わせて紹介する。
■Fukushima Watch Company(フクシマウォッチカンパニー)
福島県の小高区で設立されたFukushima Watch Company(フクシマウォッチカンパニー)は、福島を日本のジュネーブ(腕時計産業が盛んな街)にすることを目指す新進気鋭の時計ブランドだ。福島を“見る”・福島を“見せる”のダブルミーニングをもたせることで、日本だけでなく海外にもアピールできるよう意識して名付けられた。
2024年、新作として発表された”Futaba”は、福島県双葉町をテーマにしたモデルだ。双葉町は東日本大震災と福島第一原発事故により全町避難を余儀なくされたが、2022年8月に避難指示が解除され、人々の暮らしが再び戻りつつある。このモデルは、かつての町の風景や人々の暮らしをリサーチし、未来への希望を込めてデザインしたものだ。
また、販売に際して売上の2%を双葉町の復興や地域支援を行う団体に寄付する。時計を手にすることで、双葉町の未来をともに支える一助となる。この取り組みを通じて、社会的意義のある価値を提供しており、思わず応援したくなる。販売価格は、8万8000円だ。