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日本未上陸ブランド傑作選/No.17 J.N.SHAPIRO(ジェイ・エヌ・シャピロ)

経歴も異色なカリフォルニアの時計ブランド
J.N.SHAPIRO ジェイ・エヌ・シャピロ

以前、本誌でも紹介したショーン・オロロジーを立ち上げた気鋭のプロダクトデザイナーであるイアン・ショーン氏もそうだったが、いまアメリカでは時計好きが高じて自ら独立時計師のようなスタイルで本格的な機械式腕時計の製作に乗り出す動きが活発になっている。J・N・SHAPIRO(ジェイ・エヌ・シャピロ)を手掛けるJOSH SHAPIRO(ジョシュ・シャピロ)氏も、そんな好きが高じて時計製作を始めた異色の経歴を持つ時計好きのひとりだ。
彼が時計製作技術の習得をスタートさせたのは、いまから7年前の2011年。イギリスのオロロジカル・インスティテュートによる遠隔教育プログラムで学びつつ、 ETAムーヴメントのスケルトン化することから始めたという。13年にはジョージ・ダニエルズ氏の有名な著書『Watchmaking(ウォッチメイキング)』を読んだことをきっかけに文字盤のギョーシェ装飾技術に魅了され、わざわざ古いギョーシェ彫りマシンを手に入れて技術を磨いた。そして、3年後の16年にはサンタバーバラの時計メーカー、デヴィッド・ウォルターズ、さらにはドイツのサプライヤーの協力を得て、ついには腕時計の製作を開始した。そして18カ月かけて完成したのが、左ページで掲載している腕時計、インフィニティシリーズというわけだ。
手彫りのギョーシェマシンで生み出されるのは伝統的なバスケット織りパターンやバリコーン装飾のほか、スモールセコンド部分にはバスケット織りパターン、さらに複雑化した新たな装飾も見られる。この独特のパターンは“インフィニティ・ウェーブ”と名付けられ、モデル名の源泉ともなっている。
イギリスにドイツ、そしてアメリカと各国の時計の特徴を併せ持つ、何とも個性的逸品だ。

古い手彫りのギョーシェマシン。上の写真中央にあるゴールドカラーの円盤が文字盤にギョーシェ装飾を施す際に規則的なパターンを生み出す役割を果たす部品。ハンドルを回して彫り込む

 

 

 

Josh Shapiro(ジョシュ・シャピロ)
普段は高校の校長として働く一方、2011年から時計製作技術の習得を開始。ついには腕時計を作るまでに至るという異色の経歴を持つ。外部にも供給するダイアルメーカーとして文字盤を作成することに加え、自身の存在をアメリカの時計史に残したいという思いからインフィニティシリーズを構想。ついに完成させた

 

J.N.SHAPIROの[語りドコロ]
文字盤は18金ローズゴールドとスターリングシルバーを使用し、高級感と高い視認性を与えるためにレイヤー構造を採用。 さらにプレートの下に小さな隠れネジで各パーツを取り付ける複雑な技術も使用しており、短期間で技術をマスターしたとは思えぬ作りだ

 

 

斬新な独自のギョーシェ装飾が美しい
カリフォルニアメイドの個性派

インフィニティシリーズ
ジョシュ・シャピロ氏が100時間以上もかけ、手彫りのギョーシェ装飾を施して熱と酸によるホワイトニング仕上げまで手がけた文字盤を最大の特徴とするインフィニティシリーズ。針はロサンゼルスの工房にて手作業で研磨されたものを使用する。ほか、ムーヴメントやケースはドイツのUWDが供給。なお、時計のデザイン自体はジョージ・ダニエルズやロジャー・スミスなどイギリスの時計師の作品からインスパイアされている。
■RG(42㎜径)。3気圧防水。手巻き(Cal.UWD 33.1ベース)。価格はSSが2万4500ドル(約275万円)、ゴールド(YG、WG、RG)で2万6000ドル(約292万円) 、Ptで2万7500ドル(約303万円)

搭載ムーヴメントは
ドイツのUWDベース

ケースとムーヴメントを供給するのはマルコ・ラング氏が設立に携わったドイツ・ドレスデンのサプライヤー、UWD。基本的にはUWDのCal.33.1をベースとしてそのまま使用しているが、ブリッジの一部にシリアルナンバープレートを追加している

 

 

【公式ウェブサイト】
J.N.SHAPIRO(ジェイ・エヌ・シャピロ)
http://www.jnshapirowatches.com

 

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