アメリカ南西部ニューメキシコを拠点とするAlterum Watch Co. (アルテラム・ウォッチ)は、デザイナーのジャスティン・ウォルターズによって設立された。 アメリカとスイスのハイブリッド時計ブランドが誕生するストーリーは、ジャスティンがアメリカ南東部のフロリダに住み、テクノロジーおよび製造分野の複合企業であるハネウェルに勤めていた時に遡る。
ジャスティンはデザイン専攻の学生時代にアイクポッド、レッセンス、ライカ、ブラウンといったアイコニックなブランドを目にしていたものの、時計全般についてほとんど知識をもっていなかった。そんな彼がに心を奪われたのが、上司が身に着けていたロンジンのコメット。特にディスクと時針の機能に魅了した。そして、デザイン専攻していたこともあり、いつか自分の時計をデザインしたいという思いが芽生えたのだ。
アイコニックな消費財ブランドだけでなく、ジャスティンは建築や工業デザインからも影響を受けており、どちらもアルテラムのデザインプロセスにおいて非常に重要な役割を果たしている。
アルテラムでは“シンプルであることが美しい”を信念としており、不必要なものを削ぎ落として、より少ないデザインで、よりシンプルなデザインを目指している。 存在するどんなデザインディテールも、目的を果たすものでなければならないと考えているそうだ。
また、アルテラムのデザインは、近代建築や初期の工業デザインに見られる、すっきりとしたラインと控えめな美しさにもインスパイアされている。
それを象徴するのが、10年以上の構想からを経て、2024年10月22日に発表されたアルテラム・ワールドタイマーだ。 複雑なデザインになることが多いワールドタイムウオッチをミニマルなデザインに仕上げるのにあたって、創業者のジャスティンはアメリカ・西海岸のカリフォルニア州にあるアップル・パークを訪れており、そこで同心円状の放射状パネルを持つスティーブ・ジョブズ・シアターの天井に特に影響を受けたそうだ。
Alterum Watch Co. (アルテラム・ウォッチ)
アルテラム・ワールドタイマー
アルテラム・ワールドタイマーは四つの同心円で構成された文字盤が特徴で、内側は分、次に時、その次は24時間表示とデイ/ナイト表示、そして外側のディスクは24都市が表示され、各タイムゾーンを把握できるデザインとなっている。
内側から2番目の赤いマーカーは、選択した都市を指し示し、都市表示の役割をもつ。内側から3番目の24時間表示とデイ/ナイト表示部分はグレー控えめな木目模様が施され、直射日光に当てるとエレガントな斑点が浮かび上がる。伝統的な時計の針の代わりにプリントされたグラフィック・エレメント採用したことで、視覚的にすっきりした雰囲気を感じさせる。
ベゼルはアメリカの建築家フランク・ロイド・ライトによる彫刻の傑作、ニューヨークのグッゲンハイム美術館の階層構造からデザインのインスピレーションを得たステップベゼルになっている。
ケースサイズ38.5mm、厚さは10.5mmで、316Lステンレススチールケースには中央に溝のある一体形ブレスレットを装備。2時位置のリューズは両方向回転するシティディスク操作、4時位置リューズは時刻合わせと巻き上げとなっている。 ムーヴメントはロベンタ・ヘネックス社によってカスタマイズされた、セリタの自動巻き、Cal.SW330-2 GMTを搭載。
アルテラム ワールドタイムは限定100本となっており、販売価格は 3315米ドル(日本円で約49万7000円)だ。
》Alterum Watch Co. (アルテラム・ウォッチ)
公式サイト
https://www.alterumwatchco.com
文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。
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