Anoma Watches(アノマ・ウォッチ)はロンドンを拠点とする独立系マイクロウオッチ・ブランドだ。クリエイティブ・ディレクターのマッテオ・ヴィオレット・ヴィアネッロが、“時計デザインはもっと実験的で大胆で創造的であるべきだ”という信条を基に設立した。 ブランド名は“異常”や“例外”を意味する“アノマリー”という言葉に由来しており、同ブランドではその名前の通り、従来の時計デザインの型にはまらない、彫刻のような時計を生み出している。
デザインインスピレーションは、ルーマニアの彫刻家コンスタンティン・ブランクーシのモダニズム彫刻、ブラジルの建築家・オスカー・ニーマイヤーの起伏に富んだ建物など、時計界とは異なる分野からも、もたらされている。
アノマの創業者マッテオの時計への情熱は、幼少期に引き出しの中から見つけたヴィンテージ時計を分解から始まるそうだ。彼はその情熱をもったまま大人になり、希少時計の大手プラットフォームである“A Collected Man”で働くようになる。
在籍中のマッテオは希少時計の調達、独立系時計メーカーとの調停役としてプラットフォームのコンテンツを製作し、時計ビジネスのキャリアを形成。その後、自身のブランドとしてアノマ・ウォッチを創設することとなる。
アノマ・ウォッチ( Anoma Watches )
アノマA1
アノマA1 は、彫刻的なアプローチで伝統的な制約から解き放たれた、実験的で大胆なデザインのビジョンを体現している。 バランスとアンバランス、柔らかさと硬さ、大胆さと繊細など、相反する感覚を調和させつつ、“間”の緊張感によって定義されたデザインが印象的だ。
丸みを帯びた三角形のフォルムは、1950年代にフランスのデザイナー、シャルロット・ペリアンが製作したテーブルに由来する。パリのアンティークギャラリーでこのテープルを見つけたことで、最初に時計デザインのインスピレーションを得たそうだ。
ケースシルエットは、重なり合う二つの三角形の相互作用によって生み出されている。ケースと文字盤はアシンメトリーに配置され、文字盤を右にずらすことにより、狭い部分と広い部分の緩やかなフォルムが生まれる。
ケースは時の浸食によって滑らかな丸みを帯びた河原の石のように、曲線でデザインされ、 鏡面仕上げを施すことで、光の屈折によって時計にさまざまな表情を生み出している。
リューズはケースから飛び出さないようにデザインされており、独特のケースは滑らかで途切れのないシルエットが与えられた。リューズは3時位置で裏の開口部から調整可能となっており、装着した際の不快感がない。彫刻的な雰囲気を感じさせるベルトはケースに直接組み込まれている。
文字盤はヴィンテージ感のあるツートンカラーで グリーンがかったブルー、深みのあるミッドナイトブルーの2層からなる3層のラッカー仕上げとなっており、独特の色合いと個性を与えている。ドーム型に仕上げたリーフ針も手の込んだ仕様となっており、誇張されたカーブと輪郭が特徴的で、ケースの有機的なラインと呼応している。
ケースサイズ39mm、厚さ9.45mm の316Lステンレススチールケースで、セリタの自動巻きムーブメント、Cal.SW100を搭載。サファイアクリスタル風防を採用し、50m防水を備える。
イタリア製グレインレザーベルトが付属し、販売価格は 1300英ポンド(約25万4000円)だが、2024年11月現在、 アノマのウェブサイトでA1のファースト・シリーズは完売となっている。
2025年初頭に後続モデルを発売予定で、アノマのウェブサイトで登録すれば販売開始の通知を受け取ることができるそうだ。
》Anoma Watches(アノマ・ウォッチ)
公式サイト
https://anomawatches.com
文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。
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