業界唯一のアンティーク時計の専門誌「ロービート(LowBEAT)」編集部が毎週水曜日にお届けしているアンティーク時計初心者向けの入門記事。前回は「【販売されているロレックスに「リダン」と書いてある】これってニセモノじゃないの?」(関連記事参照)と題して文字盤に手を加えた「リダン」品について取り上げたが、文字盤以外にもアンティーク時計には最初に販売された状態とは違う仕様で販売されていることはよくあることだ。ここに取り上げたGMTマスターもそんな代表的なもののひとつである。
これは、編集部が運営するアンティーク時計専門の検索サイト“LowBEATマーケットプレイス”に最近アップされたGMTマスター、Ref.1675(協力◎ジャックロード)である。1965年製で光沢感のある人気のミラーダイアル後期型で青赤のペプシベゼルがかなり褪色したヴィンテージ感漂う1本だ。
一方でもうひとつの写真(協力◎ジャックロード)はその10年後の1975年に製造されたマットダイアルのGMTマスター、Ref.1675だ。ここまでの褪色はなかなかみたことがない。とても珍しいのではないか。
価格は前者が税込295万円。対して後者が408万円。本来であれば年代的にも前者が高額であってもおかしくはないのだが販売価格は300万円を切る。
理由は最初に販売されたときと同じオリジナルの仕様かどうか。後者は当初のオリジナル性が高い個体。対して前者は、その商品情報を見るとドットインデックスと針の夜光の盛り直しや24時間針の交換。さらにブレスレットは新品に交換されていると書かれている。つまり当初の仕様とは違う変更が加えられているからだ。
腕時計のアンティークの場合はオリジナル性が高いかどうかが価値を左右する。特にロレックスにおいてはGMTマスターだけでなく他のモデルも含めて70年以上もの間、モデルチェンジを繰り返しながらも現代まで生産され続けていることもあって、年代ごとの違いなどその当時のオリジナル性が最も重要視されるというわけだ。
だからと言って前者はダメかというとそういうわけではない。オリジナル性にこだわらないという人であれば、一部交換されているとはいえ文字盤やベゼルの雰囲気などなかなか魅力的。選択肢としてはありなのではないか。
文◎LowBEAT編集部
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