“予算20万円台の良い時計が知りたい”という声がよく聞かれる。確かにこのプライスレンジは非常に現実味があり、全体的に高騰している昨今の時計市場においては、とてもありがたい存在と言えよう。さらに決して高級時計とは言えないが、現代の製造技術の進歩により、力の入った力作が多いこともまた事実である。そこで今回は、読者が最も気になる“予算20万円台”というプライスゾーンから、魅力的な時計を編集部員が徹底的レビュー。実機を眺めて、触って、試着したリアルな意見なので、ぜひ購入の際の参考にしていただければ幸いだ。
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普通の3針時計じゃツマラナイ!
プラスαの魅力を備えた1本をご紹介。
語れる3針時計
予算20万円台でも
自慢できる1本を選ぼう
必ず1本は持っておきたいスタンダードな3針時計。これは基本的にどんな服装にも合わせやすいので、オールマイティーに活躍してくれる。さらに冠婚葬祭のようなかしこまったシーンでも難なく対応できるため、何かと重宝するのである。
本企画のテーマである予算20万円台というプライスゾーンでも、あらゆる選択肢が生まれてくるが、ここでは+αの付加価値が付いた“少し語れる3針時計”をクローズアップしていこう。
特に価格以上の品質を有していたのが、日本ブランド・オリエントスターの“スリムスケルトン”。自動巻きムーヴメントは50時間パワーリザーブで、外装は最高峰の研磨技術である“ザラツ研磨”を採用するなど、細部のこだわりはまさに30万円台クラス。にもかかわらず販売価格は税込み16万円台とかなり良心的だ。もし気になるのであればぜひ実機を触ってみてほしい。
そのほかユンハンス、ラドー、レイモンド・ウェイル、フォルティスの1本をレビューしていこう。
ORIENT STAR オリエントスター
スリムスケルトン
2017年4月、セイコーエプソンと統合し“オリエントスター”の第2幕がスタート。このスリムスケルトンは新たなオリエントスターを象徴するコレクションのひとつであり、搭載する自動巻きムーヴメントは昭和46年誕生の通称“46ムーヴメント”をベースにしたものだ。これは最大50時間パワーリザーブなので、かなり使い勝手が良い。
■Ref.RK-HJ0001S。SS(41㎜径)。5気圧防水。自動巻き(Cal.F7F62)。16万2000円/問オリエントお客様相談室(☎︎042-847-3380)
ケースとブレスには耐食性の高いステンレススチールSUS 316Lを採用。ザラツ研磨や新しい組み立て構造でシャープなデザインに
テンプとガンギ車の鼓動を楽しめるセミスケルトン文字盤。開口部にインジケーターとスモールセコンドが重なり合うという個性的なデザインだ
搭載するのは“46系ムーヴメント”の最新形。ローターと受けに異なる模様を採用し、美しいダイヤモンドカットを施す
実機でレビュー!
「本作のパワーリザーブは約50時間。従来モデルは約40時間だったので、10時間も延長されたことになります。当然、実用性は格段に高まり、うれしい進化と言えます。さらに外装の出来が抜群。秋田の工房で手作業で製造しているオリエントスターなので、建て付けが素晴らしく高級時計よろしく、大満足な仕上がりです。実機に触ってみると、とても10万円台の時計には見えませんね。」
バウハウスの哲学が凝縮された傑作ミニマル時計
JUNGHANS ユンハンス
バウハウス最後の巨匠として知られるマックス・ビルがデザインした腕時計。無駄を削ぎ落とした実用本位の意匠が特徴で、時代や流行に左右されない普遍性を有している。ボンベイ文字盤に合わせて秒針・分針の先端を曲げるなど、細部の作りにも注目だ。
■Ref.027 3701 00。SS(34㎜径)。防汗。手巻き(Cal.J805.1)。11万8800円/問ユーロパッション(☎︎03-5295-0411)
ふっくら盛り上がったプラスチック製のドーム形風防。クラシカルな文字盤との相性は抜群だ
実機でレビュー!
「自動巻きもありますが、本誌は手巻きのマックス・ビルがオススメ。理由はケースが薄いので、装着感が非常に良いということ。さらに手巻きモデルのサイズ感は、オリジナルデザインに最も近いプロポーションを採用しているんです。ケースは小振りですが、ベゼルを極端に絞ることで文字盤を大きくし、視認性を高めています。」
見た目も軽やかなフルセラミックスウオッチ
RADO ラドー
トゥルー オープンハート
革新的なマテリアルと斬新なデザインを追求するラドー。こちらは2018年モデルで、ケースとブレスに同ブランドを象徴するハイテクセラミックスを採用する。文字盤の一部をカットアウトしたスケルトンデザインも魅力で、モダンな雰囲気を醸し出す1本だ。搭載するETA社の自動巻きムーヴメントは、最大約80時間駆動。
■Ref.R27100112。ハイテクセラミックス(40㎜径)。5気圧防水。自動巻き。23万7600円/問ラドー/スウォッチ グループ ジャパン(☎︎03-6254-7330)
艶やかなフルセラミックスケースは流れるようなラインを描く
実機でレビュー!
「ラドーの真骨頂とも言えるフルセラミックス時計。1番の魅力は実用性が極めて高いことです。まず傷が付きにくいので、キレイな状態が長く続く。これはオーナーにとって大きな魅力です。そして素材自体が軽いので、手首に巻いた感触も良い。加えて80時間のパワリザも使い勝手抜群。スウォッチグループならではの強みですね。」
よりクラシカルに進化した気品あふれる1本
RAYMOND WEIL レイモンド・ウェイル
マエストロ
クラシックコレクション“マエストロ”の最新作。文字盤中央には古典的な波形のギョーシェ装飾を施し、その6時位置にムーンフェイズ機能をセットしていることが特徴だ。大人っぽいネイビーカラーも手元で程よいアクセントになってくれる。
■Ref.2239-STC-00509。SS(39.5㎜径)。5気圧防水。自動巻き(Cal.RW4280)。17万8200円/問GMインターナショナル(☎︎03-5828-9080)
メカ好きなら見逃せないシースルーバックを採用する
実機でレビュー!
「実機を見た印象はかなり上品なデザインだということ。スーツスタイルに合わせることで真価を発揮する時計だと感じました。また文字盤中央部は彫りの深い波形ギョーシェであるのに対し、外周部は彫りの浅い円状ギョーシェを採用するなど、コストをかけた仕上げも魅力。加えてケースは40㎜以下なので日本人向けと言えます。」
Recommend Brand
カジュアルだけじゃなく、ビジネスでも使えるスマートさが魅力
フォルティスの“薄ミリ”ウオッチ
コストパフォーマンス抜群。
軍用顔のオールラウンダー
かつてドイツで生み出された軍用パイロットウオッチ。“B-UHREN”や“Bウオッチ”と呼ばれるこの時計のデザインやスタイルを踏襲した腕時計は現在、多くのブランドが作っている。オリジナルに忠実なもの、大胆なアレンジを加えたものなど様々だが、今回クローズアップしたフォルティスのものはアレンジ具合が何とも絶妙だ。
時分表示インデックスを分けた文字盤デザインはオリジナルにも見られるが、この時計では分表示インデックスにレイルウエイデザインを取り入れて程よくエレガントな雰囲気をプラス。一方でスモールセコンド以外にすべてスーパールミノバを施し、視認性をより一層高めている。
さらに注目はケースだ。軍用が出自ゆえ、ケースが厚く無骨なものが多いが、使いやすさ、着けやすさを優先してドレスウオッチ並みの薄いケースを採用したことで着けるシーンを選ばない汎用性の高さを得た。軍用顔なのにビジネスシーンにも合わせられるものは、ほかではまず見つからないはず。しかも10万円台というのだから鬼に金棒だ。
FORTIS フォルティス
コックピット・クラシックセコンド
フォルティス初期のデザインをベースにしたケースを持つパイロットウオッチコレクションの新作。Bウオッチと呼ばれる伝統的な本格パイロットウオッチのデザインとスタイルでありながら、スリムなケースを合わせることで、あらゆるシーンで着けられる使い勝手の良さを獲得。
■Ref.901.20.51LP。SS(40㎜)。5気圧防水。自動巻き(Cal.ETA 2895-A2)。17万8200円/問ホッタ(☎︎03-6226-4715)
こだわりのディテールを細かくチェック!
ケースバックは厚みを抑えることを優先し、ネジ留めのシースルーバックを採用
キャンバスのような型押しを施した特殊なカーフベルトは適度なスポーティさをプラス
時分針に時・分のインデックス、加えてブランド名やコレクション名にまでスーパールミノバをしっかりと施し、暗所でも圧倒的な視認性を確保
実機でレビュー!
一目瞭然。圧倒的な視認性の高さ。
薄いケースはフィット感も抜群!
「基本デザインはオリジナルを踏襲、サイズも40㎜径と程良く視認性の高さは申し分ない。薄いケースと青のステッチが効いた特殊なカーフベルトの効果もあって軍用色が薄れ、スポーティな雰囲気だ」