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大丈夫ですかロレックス? 蒸し蒸しするこれからの時期は要注意!|菊地吉正の【ロレックス通信 No.257】

長い間オーバーホールもせず弓かんとケース側にも黒っぽい埃がびっしりと溜まっているデイトジャスト

ロレックスというと近年は定価を超えるプレミアム価格ばかりに注目が集まってしまうが、本来の凄さは商品の作りそのものの素晴らしさだと思う。高精度はもちろんのこと、丈夫でほんと不具合が少ない。そのためかつてデイトジャストなどは日常使いとして毎日着けている人も多かった。

まあ、いまでは考えられないかもしれないが、90年代にはルイ・ヴィトン、メルセデスベンツとともに頑張れば手の届く3大海外ブランドのひとつとして挙げられていた。それぐらいに身近な存在だったのである。

しかし、この使い続けても不具合が出ない丈夫さゆえに定期的なメンテナンスを長年行わないユーザーも意外に多かったようだ。今回取り上げた写真はそんな個体のひとつである。

1989年製のデイトジャストだ。ジュビリーブレスを外すとご覧のようにケースとブレスレットをつなぐ弓かん(フラッシュフィット)の内側に長年の埃がびっしりたまっていることがわかる。

ロレックスを得意とする修理技術者のクロノドクターこと久保氏も「購入してから一度もオーバーホールをやっていない人はけっこう多いですよ。そんな個体のほとんどはこのデイトジャストと同じ状態ですね(笑)」と語る。

さらに久保氏は「この時代(5桁レファレンス)のジュビリーブレスは3列の中コマが18金の塊から削り出したものではなく巻き板式のためコマの中央が空洞になっているんですよ。そのためそこにもびっしりと埃が溜まっていることが多いので、5桁レファレンスユーザーはこの点も気をつけてほしい」と言う。

いずれにしても、特にジメジメして蒸し暑いこれからの時期は、長年放置しているとサビの原因になるばかりか不衛生で特にブレスレットは臭いのもとになるため、しばらくオーバーホールをやっていないという人はこの時期こそぜひやってほしい。

ロレックスのケースは堅牢に作られているため、オーバーホールで細部を洗浄してもらうと見違えるほど綺麗になる。加えて長年使ったものであってもロレックスの場合は、リセールバリューもそれなりにあるため、定期メンテナンスをしても決して損はないはずだ。

菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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