シンプルな3針時計に比べて、部品点数が3倍以上にもなるといわれる機械式クロノグラフ。製造や組み立ての工程も増えることから技術を要し、コストが高くなることもあって、20万円台の価格帯ではかなり数が少なくなってきた。
かつてはETA社のエボーシュを使用した手頃なクロノグラフというのは、それなりに数があったが、現在はスウォッチグループ傘下のブランドといえども20万円台で購入可能な機械式クロノグラフというのは、ハミルトンとティソくらいだ。いずれのブランドも、ETA社と共同開発した高性能なクロノグラフムーヴメントを搭載し、手の届く価格帯でハイクオリティなモデルを展開している。
注目したいのがインダイアルのレイアウトだろう。おおまかにインダイアルが二つの仕様(二つ目クロノグラフとも呼ばれる)と、三つの仕様(三つ目クロノグラフとも呼ばれる)に分けることができる。インダイアルを二つ備えたクロノグラフは元々1940年代から50年代の時計に採用されていたクラシックなスタイルで、現行のクロノグラフは圧倒的に三つの仕様が主流派のため、スポーツモデルからクラシックなモデルまで選択肢の幅が広い。
なお、ツーカウンターが二つ目、スリーカウンターが三つ目と認識しがちだが“カウンター”とはクロノグラフの計測機能であるため、時分針や秒針、24時間計などはカウント機能には含まれない。カウンターは、インダイアルではなく、あくまでも積算計の数を示している点に留意しておきたい。
【“二つ目クロノグラフ”とは】
“二つ目クロノグラフ”とは文字盤中央のクロノグラフ秒針と文字盤に二つのインダイアルを備えたクロノグラフのこと。1940年代まではクロノグラフのデザインとして数多く見られた仕様だが、計測機能に優れる三つ目クロノグラフ(文字盤に三つのインダイアルをもつクロノグラフ)が主流となったことで1950年代以降は製造数が減っていった。アンティークのクロノグラフを想起させるクラシックな意匠が再評価され、近年になって再び数を増やしている。
エクセルシオパーク
EP95003 ブラックダイヤル
休眠から復活を果たしたクロノグラフ名手“エクセルシオパーク”。かつては自社製のクロノグラフムーヴメントを搭載したが、現代版では、セリタ社の手巻きCal.SW 510 BH Bをトップグレードに仕上げたムーヴメントを搭載している。
【問い合わせ先】
エイチエムエスウォッチストア 表参道
TEL.03-6438-9321
【“三つ目クロノグラフ”とは】
“三つ目クロノグラフ”とは、その名が示す通り文字盤中央のクロノグラフ秒針のほかに、三つのインダイアルを備えたクロノグラフを指す。文字盤に三つのインダイアルを備えたデザインが一般的に知られており、計測機能に優れることから1950年代頃からクロノグラフの主流となった。オメガのスピードマスター、ロレックスのデイトナに象徴されるように、数多くのブランドがスリーカウンターを採用したクロノグラフを製造している。
ティソ
ティソ PR516 クロノグラフ メカニカル
1970年代に高い評価を得たモデル“PR516 クロノグラフ”から、ティソの最新技術をもとにアップデートしたヴィンテージデザインの手巻きクロノグラフ。ドライビングスピリットを熱く搔き立てるスポーティなデザインが特徴だ。ムーヴメントはバルジュー7753から特別な改良が施されたETA/バルジューA05.291を搭載。68時間というロングパワーリザーブと磁場に対する高い耐性に加え、摩耗や経年変化による精度への影響を抑え、ムーヴメントの長期的な信頼性を強化。卓越した精度と耐久性を誇る。
【問い合わせ先】
ティソ
TEL.03-6254-5321
文◎Watch LIFE NEWS編集部
【そのほかのニュースもチェック!】
■【スイス時計の名門“ロンジン”が代表作をモデルチェンジ】原点回帰した“コンクエスト”に注目