カジュアル時計

連載記事-時計デザインの原点を辿る、古典顔愛好会“ドーム形風防編”

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時代の移り変わりとともに腕時計の意匠も変化している。ここではいまではあまり見ることがなくなった古典ディテールを、あえて採用することでアンティークウオッチさながらの魅力を持ったモデルを紹介していく。今回はこんもりと膨らんだフォルムが印象的な“ドーム型風防”を紹介していこう。

丸みを帯びたドーム形状が、古典的な雰囲気を高める

文字盤の装飾やインデックス、針などは、“古典顔”を表現するうえで重要な要素であることはお気づきだろう。これに加えて、もうひとつ、古典顔を表現するために多用されるのが、“ドーム形風防”である。
正面から見ただけでは気付きにくいが、現代のフラットな風防に対して、丸みを帯びたその形状がフェイスに柔らかな印象を与えると同時に、アンティーク感も演出しているのだ。

実はかつての腕時計がドーム形風防を採用していたのには、ちゃんとした理由があった。“加工の手間をかけて高級感を演出するため”というのがそのひとつだ。かつての腕時計はいま以上に高級品であったため、パーツ一つひとつにまで手間とコストをかけ、価格にふさわしい外装を与えていたというわけである。

また、それとは別に、強度上の問題からフラットにするのは難しかったという理由もある。
いまでは加工技術の発達によりサファイアクリスタル(ダイヤモンドに次ぐ硬度を備えた高級素材)やクリスタルガラス(ミネラルガラスに特殊処理を施して強度を高めたもの)を風防の素材に採用するのが一般的だが、ドーム風防が全盛期だった1940年〜50年代は、まだ普及しておらず、高級ブランドでもプラスチック(アクリル)を風防に採用するのが一般的。プラスチックは衝撃に対する耐性や強度が低いため、厚みを持たせて強度を高めたのだ。
独特のこんもりとしたフォルムは強度を高めるために生み出された実用のための造形なのだが、現在はアンティークテイストを醸すフォルムがデザインのポイントとなり、時計デザインのひとつとして多くのモデルに採用されるようになっている。
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上のモデルは、1960年代に製造されたユニバーサル・ジュネーブのポールルータージェッとというモデル。ドーム型に整形された風防が採用されているのがわかる。

ドーム形とは逆にフラット形風防はモダンな雰囲気を演出
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ダニエル・ウェリントンはクラシカルな意匠を取り入れているが、フラット形の風防を採用するなど、全体的なフォルムが引き締められているため、見た目の雰囲気はずっとモダンだ。
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Daniel Wellington(ダニエル・ウェリントン)
クラシック シェフィールド
■Ref.DW00100036。ステンレススチールケース、レザーストラップ。ケース径36㎜。日常生活防水。クォーツ。2万3760円

【問い合わせ先】
ダニエル・ウェリントン原宿(☎︎03-3409-0306)
【<ダニエル・ウェリントン>の公式オンラインショップ】へ

 

》プラスチック素材の特徴
かつて風防の素材はプラスチックを採用していた。強度面ではクリスタルガラスなどには及ばないが、軽量でかつコストを抑えられるというメリットもあるため、とくにカジュアルウオッチではいまでもプラスチック素材を採用するモデルは多い。また無機質なガラスとは対照的な、プラスチック独特の柔らかな質感も魅力である。

 

》タイムギア編集部のオススメ時計
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SONNE Historical Collection(ゾンネ・ヒストリカルコレクション)
パイロットクロノグラフ タイプⅠ
1940年代に空軍士官向けに開発されたとされ、“フライングオフィサー”とも呼ばれた2カンタークロノグラフの意匠を踏襲。プラスチック製のドーム形風防や、文字盤外周に記された世界23都市の名前など、細かなディテールまでも当時を再現した凝った作りとなっている。
■Ref.HI003BK-BK。ステンレススチールケース、レザーストラップ。ケース径40㎜。日常生活防水。クォーツ。1万8360円

【問い合わせ先】
タイムギアオンラインショップ
【<タイムギア>の公式オンラインショップ】へ

【今回のテーマ“ドーム形風防”とは】
ベゼル部分から緩やかにドーム形にカーブした風防のこと。当時、フラットなタイプは一定の強度が得られなかったため、必然的に厚みを持たせたドーム形が生まれたとも言われる。1970年代以前のほとんどのアンティークウオッチが採用していた。見る角度によって光の反射で文字盤が見えづらくなるなど、デメリットもあるが“古典顔”に欠かせないディテールだ。

【古典顔(こてんがお)とは?】
古い時代に主流となっていたディテールやデザインを踏襲して、アンティークウオッチさながらの意匠を備えた腕時計のこと。腕時計は誕生からまだ100年余りと歴史は浅いが、その間急激な発展を遂げたため、時代によって様々な意匠が楽しめる。

【<古典顔愛好会“ワイヤーラグ編”>のページ】へ
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