1980年代後半からみられる名門の復活とともに始まり、世界的な広がりとなった高級時計ブーム。当時、ブレゲ、ブランパンなどの名門が休眠から復活したことがブームの起爆剤となったのだが、その後で時計マニアではない一般ユーザーまでニーズを広げる役割を担ったのが高級ジュエラーである。高級時計ブームから本格的に時計製造を開始し、一世を風靡したブルガリは、まさに当時を象徴するブランドと言えるだろう。
現在ではスイスの名門にも引けを取らないマニュファクチュールとして知られるブルガリだが、同社が本格時計の製造を開始したのはスイスにブルガリ・タイム社を設立した80年代初頭からである。時計製造部門をスイスに移転したブルガリは、独創的なデザイン思想とスイスの技術を融合し、90年代以降にアルミニウム、ソロテンポ、レッタンゴロなどの人気モデルを次々と登場させていった。今回紹介するディアゴノスクーバクロノグラフも、そんなポストヴィンテージの名作のひとつだ。
■Ref.SCB38S。SS（38mm径）。200m防水。自動巻き。参考商品
BVLGARI（ブルガリ）
ディアゴノスクーバクロノグラフ
12時と6時にアラビアインデックスを配したディアゴノシリーズのデザインを継承しつつ、夜光を塗布したドットインデックス、逆回転防止ベゼル、ネジ込み式のリューズとプッシュボタンを備え、200m防水を確保。3カウンターではなく、あえて2カウンターにしたことで、ブルガリらしいモダンな意匠に、クラシックな雰囲気を加えている。ブルガリならではの独創的なデザインだが、デザインの完成度が高いため、いま見ても古さを感じさせない魅力を備えている。
逆回転防止ベゼル、200m防水を備え、さらにクロノメーター認定の自動巻きムーヴメントを搭載するなど、時計専業ブランドに引けを取らない本格仕様であることが特徴だが、最大の魅力は独創的な意匠だろう。なかでも、ひと目見た瞬間に、ブルガリの時計であることを主張するのが独自設計のブレスレットだ。可動式のパーツでケース、コマを接続した独創的な構造により、ほかにはない機能美を生み出している。直線を生かした薄型のフォルムは、重厚でありつつ、エレガントさも感じさせている。
歯車を思わせるデコラティブなベゼルは操作性を高めつつ個性を主張。スチールパーツでコマを接続したフレキシブル構造のブレスレットも実に個性的だ。ケースとブレスを一体化させたデザインにはノーチラス、ロイヤルオークなどの影響を感じるが、アクの強いディテールの意匠により、ブルガリ独自のスタイルを生み出している。
文◎Watch LIFE NEWS編集部
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