2019年4月16日からウオッチライフニュースとYahooニュースとで同時にスタートし毎週日曜の朝にお届けしているロレックス通信もこの度300回を迎えた。この6年間というもの一度も休まず、なかば意地で続けてきた感は否めないが、まあロレックスネタだけでよく続いたものだと我ながら思う。
そこで今回は、ロレックス市場の6年間について、その間に起きた異常ぶりをあらためてデイトナ(黒文字盤)の実勢価格を例に振り返ってみたいと思う(ちなみに白文字盤タイプは黒文字盤の実勢相場にプラス50〜60万円が目安)。
本連載がスタートした2019年をみなさんは覚えているだろうか。「爆買い」という流行語が生まれたように、当時は中国人を中心としたインバウンド需要がピークを迎えていた。そんな外国人需要が牽引してその7月にはロレックス史上で最高値となる289万円(当時の定価127万4400円)を記録するほど右肩上がりに伸びていた時期だった。
それが20年になるとコロナウイルスによるパンデミックによって一変する。当時250〜260万円台で推移していたデイトナの実勢価格は確かに3月に入ってガクっと下がったのだが、これは一時的なもので5月上旬には再び上昇しコロナ前の相場に戻ってしまったのだ。実は下がったタイミングで需要は逆に増えてしまいコロナ禍で商品供給が鈍っていたこともあって、あっという間に価格が上がってしまったというわけだ。
そして21年に入るとそれまで長期間にわたって社会活動が制限されていたことに伴い、富裕層を中心に投機対象としてロレックスなど一部の高級時計が世界的に注目されるようになり実勢価格は一気に跳ね上がる(2ページのグラフ参照)。デイトナに至っては21年1月の280万円から22年3月上旬の551万円(当時の定価138万7100円)へと約1年間でその差約270万円。まさに驚異的ともいえる数字を記録した。
正規販売店には商品目当てに定期的に通う“ロレックスマラソン”と呼ばれる異常な社会現象まで生まれた。おかげで筆者にも日経新聞や朝日新聞、テレビ局などから取材依頼が舞い込むほどだった。
しかし、この異常な状況は22年3月上旬を境にピークアウト。8月までの5カ月間で約130万円も下落しその傾向はさらに続いた。ピーク時の551万円に対して23年2月は387万円。計160万円以上も下落したのだ。並行輸入店が「デイトナの新品は怖くて仕入れられない」と言っていたことを思い出す。
その後も海外では下がり続けていたものの日本市場では異常な円安の影響もあって逆に上昇し現在は平均すると450万円前後といったところ。では今後どうなるのか、やはりトランプ関税による為替の変動など混迷する社会情勢を考えると、その影響を受けやすい新品商品については買いにくい不安定な状況はまだとうぶん続くだろう。
【画像】2019年から6年間のデイトナ(黒文字盤)の実勢価格の推移を4枚のグラフでチェック
さて、当ロレックス通信も今回の300回を機に今後は毎週日曜連載から月1回第4週目の日曜朝に変更してお届けしたいと思う。ぜひ、今後も引き続きご愛読いただけたら幸いである。
最後に好評だった記事を五つほどピックアップして以下にリンクさせていただいたので併せてご一読いただきたい。
【好評だった記事】
■実にラッキーなデイトナ・オーナー氏!|【ロレックス通信】 No.001
■デイトナが100万円以下で買えたリーマン・ショック時を振り返る|【ロレックス通信】 No.034
■初代GMTマスターのパンナムモデルが何と日本にあった!|【ロレックス】通信 No.024
■正規ロレックスがついに中古市場に参入! 今後どうなる“2次流通市場”|ロレックス通信 No.175
■福島第一原発の処理水で知られる「トリチウム」。90年代以前の腕時計はそれによって逆に価値が上がるってホント!?