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【オメガ×スウォッチ、チューダーほか】大人気モデルに見る、ピンクカラーの可能性|性別の垣根を超える腕時計 No.002

先日とあるお店で、スマートフォン用の保護ケースを探していたときのこと。30代後半くらいと思しき二人組のひとりがピンクの保護ケースを手に取り“これアリじゃない!?”と、もう一人の男性に問いかけ、“男が真っピンクはないだろ〜”などと一蹴されていた会話を耳にした。

私にしてみれば、いまどきそのようなジェンダーバイアスに囚われているあなたのほうが“ないだろ〜”と思ってしまったのはさておき(彼はその発言に悪気はない様子で、穏やかな談笑であったことを一応付け加えておきたい)、実際のところ“ピンク=女性の色”という偏見がいまだ残っている面があるのは否定できないだろう。


そんな現代ではあるが、近年の時計ブランドはメンズモデルにも精力的にピンクカラーを採用している。

25年4月1日より期間限定で発売予定のオメガ×スウォッチの最新作“ムーンスウォッチ”最新作も、鮮やかなピンクのカラーリングで話題となっている。思い返せば去る1月末に登場したもうひとつのスウォッチコラボ、ブランパン×スウォッチの最新作のカラーもピンク。いずれも控えめとは言い難い、ビビッドピンクの色合いという点も共通している。

(左)OMEGA × SWATCH(オメガ ×スウォッチ)
ミッション トゥー ザ ピンク ムーンフェイズ
(右)BLANCPAIN × SWATCH(ブランパン ×スウォッチ)
バイオセラミック スキューバ フィフティ ファゾムス

色合いの差はあれ、いずれも“ビビッドピンク”と言える鮮やかなカラーリングが特徴のスウォッチ2大コラボの最新作

【画像】スウォッチ2大コラボ作のスペック&ディテールを見比べる


冒頭でも述べたが、近年、時計ブランドにおける人気モデルのメンズラインに、ピンクカラーが採用されることが珍しくなくなっている。かつての“ピンク=女性の色”という前時代的な偏見を払拭するという意味においても、時計ブランドのジェンダーレス推進の動きに注目したい。

TUDOR(チューダー)
ブラックベイ クロノ ピンク

■Ref.79360N-0019。SS(41mm径)。200m防水。自動巻き(cal.MT5813)。参考商品

チューダー自らが“万人向けではないかもしれない”と発表したことでも注目を集めたブラックベイ クロノの少量限定モデル。これはデイヴィッド・ベッカムを筆頭に、チューダーアンバサダーたちが意図してピンクを着用していることに起因するという。

“勇猛果敢に挑むことは、常識を覆すことである”というチューダーは、本作が万人受けではないと知りながら、型にとらわれないことがブランドらしさの表現のひとつと表明している。もっとも、カラー以外はブラックベイの美学に忠実なモデルであり、力強いデザインとジェンダーレスなピンクデザインのギャップが非常に魅力的な一作だ。

【画像】“ブラックベイ クロノ ピンク”ベッカムによる着用カット


ZENITH(ゼニス)
デファイ スカイライン ピンク エディション

■Ref.03.9301.3620/18.I001。SS(41mm径)。自動巻き(エル・プリメロ 3620)。10気圧防水。137万5000円

数ある高級時計ブランドのなかでも、ピンクと縁深いのがゼニスだ。同ブランドは乳がん撲滅に向けた国際的な支援として、定期的にピンク文字盤モデルを発表。売上の一部は、スーザン G. コーメン乳がん財団へ寄付されている。

ここで紹介するのは、24年10月に登場した“デファイ スカイライン ピンクエディション”。デファイシリーズ史上初となるピンク文字盤に加え、41mm径ながらユニセックスモデルとして展開。シリーズ伝統の四芒星モチーフの文字盤デザインもポップでかわいらしく、性別にかかわらず楽しめる一作となっている。

 

【問い合わせ先】
LVMH ウォッチ・ジュエリー ジャパン ゼニス
TEL.03-3575-5861


都内では桜が満開シーズンを迎えるなか、お手軽に“春らしさ”を演出できるピンクカラー。服装として着るのは少々勇気が必要と思う方こそ、まずは腕時計に取り入れてみてはいかがだろうか。それは単なる差し色の域を超え、あなたの新たな魅力を開花させてくれるはず。ピンクには、そんな性別を超えたパワーのようなものが宿っている気がしてならない。

 

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文◎市村 信太郎(編集部)

音楽・教育業界を経て2023年より編集者としてのキャリアをスタート。時計やメイク、ファッションなどあらゆるものをジェンダーレスに楽しむ。レディース・メンズの垣根を無くしたスタイルの実現を目指すとともに、それを体現する存在になるべく奮闘中。

 

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