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第2回【50万円以下の予算でロレックスのアンティークを買う】なぜ1500系がおすすめなのか、その理由とは!

前回の記事で購入のポイントとして「1500系自動巻き搭載モデル」を挙げたが、ではなぜ1500系なのかを簡単に説明したい。

ロレックスが1931年に発表した初期の自動巻きムーヴメントは、新たに開発したローター(半円形の回転錘)を備えた巻き上げ機構(パーペチュアル機構)を、既存の手巻きムーヴメントの上に載せたものだった。そして当時にして6時間着用すれば35時間分の駆動を続けるだけのエネルギーを蓄えることができるほど革新的なムーヴメントだったのである。

しかしその反面、機構を納めるためにケースにかなりの厚みが出てしまった(バブルバックの愛称でも知られる)うえに、歩度調整ひとつとってもムーヴメント全体を覆っている自動巻き上げユニットをわざわざ外す必要があるなど問題点も浮き彫りになっていた。そこで、それらを解決するため新たに完成(50年頃)したのが、1500系の前身であり、薄型の手巻きムーヴメント、キャリバー1000をベースに自動巻き式に改良された1030である。

この1030は、ムーヴメントを覆っていたカバーを排したことでさらに薄型化を実現、加えてローターが左右どちらに回転してもゼンマイを巻き上げることができる切り替え車による両方向自動巻き式を採用。これによって格段に巻き上げ効率が高まったことも大きな特徴だ。そして、この改良版として57年頃に開発されたのが1500系キャリバーの1530なのである。

1530が最高傑作と呼ばれる理由には大きく三つ挙げられる。ひとつ目は、大きなテンプを採用、ゼンマイの入る香箱も大型化し、トルクの大きなゼンマイを使用することで精度をより高めている。二つ目は、自動巻きの切り替え車の素材に、ルビーパウダーによって硬化処理が施されたアルミニウムを採用、摩耗に対する耐性が大幅に向上した。

そして三つ目は、1530のクロノメーター版1560から新たにマイクロステラスクリューという星形ネジの出し入れで歩度を調整する、ロレックス独自の歩度調整機構が採用された。高い精度が出しやすくなりアフターという点で修理技術者から高い評価を得たことも最高傑作と言わしめたゆえんのひとつだ。

簡単な話が、ゼンマイの巻き上げ効率が良く安定していて、いまなおしっかりと精度が出る。加えてメンテナンス性も良くとにかく完成度が高い。ロレックスの自動巻きムーヴメントの基本形がこれによって作られたと言われるほど優秀なムーヴメントなのである。

さて来週はアンティークのオイスターペーペチュアルについて詳しく紹介する。

【画像】ロレックスの1500系自動巻きを搭載する15機種をチェック!

文◎LowBEAT編集部

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