“ブライトリング”が、クロノグラフの名門ブランドとして知られる“ギャレット(Gallet)”の買収を発表。今後、ブライトリングのエントリーレベルに位置付けたブランドとして、展開されていくようだ。
“ブライトリング”による著名ブランドの買収は、2023年の“ユニバーサル・ジュネーブ(Universal Genève)”に続き、2度目。“ギャレット”は創業から2世紀を迎えた節目に、“ブライトリング”傘下のもとで大きく舵を切り、再始動を果たす。
今回の発表について、“ブライトリング”のCEOであるジョージ・カーン氏は、次のようにコメントしている。
「私たちは、“ブライトリング”の専門知識とクラフツマンシップのもとで、“ギャレット”を復活させます。私たちのビジョンは長期的なものであり、“ギャレット”を時計業界における強いブランドとして復活させるとともに、その冒険とクロノグラフにおける革新の伝統を称え続けていきます」
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名門“ギャレット”の歩み
“ギャレット”は1826年、スイスのラ・ショー・ド・フォンで時計商のジュリアン・ギャレットにより創業された。冒険や長距離旅行におけるスピリットを体現した、レース、航空、オフロード探検の分野で耐えうる堅牢な計測機器の製造を行っていた。71年、“ジュール・ラシーヌ & Co.”が腕時計の独占販売代理店となり、アメリカの腕時計市場に進出。北米での市場を拡大していく。
1903年、“ライト兄弟”の“ライトフライヤー号”が59秒、852フィートという飛行記録を打ち出し、航空時代の幕開けとなる。初の有人動力飛行を計測し、歴史的一場面の記録に貢献したのが、同ブランドのストップウオッチだ。この時計は“The Sun”として市場に登場し、航空時計史に歴史を刻んだ。
07年、同ブランドは時計メーカー“ソシエテ・ドゥ・オルロジュリー・エレクタ”を買収し、“ファブリック・ドゥ・オルロジュリー・エレクタ・ガレット・アンド・カンパニー”を設立。同カンパニー設立時から26年までの取り組みは、技術の刷新や特許の取得、国際的な評価の獲得など、同ブランドにおける重要な期間となり、精密時計分野のアイデンティティを形成する上での礎となった。その後も引き続き、確立された北米市場での事業に注力し、エタブリスールとしての活動を軸に、スイスで製造と組み立てを行いながら時計のデザインを行っていた。
そして迎えたのが、70年代から80年代にかけてスイスの伝統的な時計産業を震撼させたクォーツ革命とスイスフランの高騰だ。数々の名門ブランドが多大な打撃を受け、“ギャレット”も例外ではなかった。その後の長い間、沈黙を続けていた同ブランドだが、今回の“ブライトリング”による買収で、同ブランドの傘下として復活を果たすことになる。