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【スピードマスターにも搭載】オールドオメガのクロノグラフは傑作揃い!

オメガのクロノグラフと言うとスピードマスターがあまりにも有名だが、プロフェッショナルラインを確立する前から、オメガにはクロノグラフの伝統があった。その背景にはレマニアとの関係性が大きかったと言える。

オメガは当時の世界大恐慌を乗り越えるべく、1931年にティソなどとSSIHグループを創設して、製造体制の連携を図った。これが現在のスウォッチグループの前身にもなったのだが、翌32年にレマニアがSSIHグループに参画したことで、オメガは質の高いクロノグラフムーヴメントを採用することが容易になった。レマニアは軍用に自社製クロノグラフを納入すると同時に、エボーシュとして他社にムーヴメントを供給する余裕があり、当時のオメガはレマニアへの依存度がかなり高かった。

Cal.33.3CHRO T2/画像:キュリオスキュリオ

【画像:デザインも秀逸なオメガ クロノグラフモデルを見る】

 

レマニアベースのオメガのクロノグラフとしては、まず1930年代に生まれたCal.33.CHROが注目に値する。これはレマニアのCal.15TLがベースとなっており、サイズは15リーニュ=33.3mmと当時としてはかなり大きめ。それだけにパーツの配置に余裕があり、リセットハンマーなども肉厚で耐久性が高いものが使用されている。ボタンを押したときのカチッとした感触が心地良く、いまでも評価の高い名機だ。

この流れを受けたオールドオメガのクロノグラフ最高峰が、1942年発表のオメガ名Cal.321(Cal.27 CHRO C12)だ。レマニアのアルバート・ピゲの設計によるもので、サイズが27mm径と小型化されたことで汎用性がアップ。伝統的な巻き上げヒゲやコラムホイールが採用されており、毎時1万8000振動の安定したロービートで優れた精度を叩き出した。このムーヴメントが有名になったのは、スピードマスターに採用されて月面着陸に貢献したという伝説があるからだが、実際はスピードマスターが生まれた1957年以前から、オメガのクロノグラフを代表するムーヴメントとなっていた。
しかもこのCal.321は、2019年に再生産されて現行のスピードマスターにも採用されている点がすごい。現行モデルでは主ゼンマイの長さを伸ばしてパワーリザーブが延長されているが、基本的な設計は80年前と同じ。それだけ設計に先進性があったのだ。

レマニアのクロノグラフは、その優秀さゆえにブレゲなどにも供給されていたが、1981年にレマニア自体がブレゲの傘下に入り、オメガとの関係性は一旦途絶えている。その後にブレゲがスウォッチグループに入ったことで関係が復活しており、両社の関係はかなり複雑な歴史を辿ってきたと言えよう。

オールドオメガのクロノグラフは、そのクオリティを考えれば市場価格はまだかなりリーズナブルだ。1940年代あたりの年代物となると出物は多くないが、それでも製造量が多かったブランドだけに、他ブランドと比べると状態の良い個体を探しやすいと言える。

 

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