LowBEAT magazine

ロレックス・憧れの金無垢モデルの魅力を再考【GMTマスター編】

GMTマスターは、ロレックス初(というか世界初)のGMT機能搭載ウオッチとして1955年に登場した。同社はこれに先立つ1953年に、登山家向けにエクスプローラー、高い防水性能を備えたサブマリーナーをリリースしており、目的をはっきりさせたプロ向けのツールウオッチを拡充していた時代だ。

パンアメリカン航空からの要請でパイロット向けに開発されたこのモデルは、時差のある2カ国の時刻を同時に表示できるようにGMT針を備えており、さらにGMTマスターII以降は24時間目盛り付きの回転ベゼルを併用することで3タイムゾーン表示が可能な高機能モデルだ。超音速旅客機コンコルドのテスト飛行にも使われた実績があり、パイロットウオッチとしては当時から評価が高かった。

GMTマスターがエクスプローラーやサブマリーナーと明らかに異なっていた点は、最初からステンレスモデルだけでなくゴールドモデルがラインナップされていたことである。パイロット向けモデルということもあって、ある程度のステイタスをもたせて、高級路線を推進したかったロレックスの思惑が感じられる。

【画像:金無垢GMTマスターのブラックカラーを見る】

初代金無垢GMTマスターはRef.6542/8で、ステンレスモデルが青・赤ツートーンのいわゆるペプシカラーのベゼルを搭載していたのに対して、ゴールドモデルは単色ブラウンのベゼルを合わせていた。文字盤はインデックスの隆起が目立ついわゆるフジツボインデックスで、ステンレスモデルで使われていたベンツ針はアルファ針に変更されており、ぱっと見ただけでも印象はかなり異なる。

このRef.6542/8は製造期間が数年と非常に短かったうえに、高価な金無垢モデルということで製造本数が少なく、いまでは市場で見かけることはほとんどないレアモデルとなっている。市場価格は1500万円以上と非常に高騰しており、入手はかなり困難だ。

2代目金無垢GMTマスターとなるRef.1675/8は、1960年代から80年ごろまで製造されていたロングセラーだが、こちらもステンレスモデルに比べれば製造本数が少なく、市場価格は700万円オーバーと高値で推移している。製造期間が長かったこともあって、文字盤の表記などにディテール違いが多く存在する。

3代目金無垢GMTマスターのRef.16758は、サファイアクリスタル風防を備えて堅牢性・防水性を高め、ムーヴメントもハイビート&クイックチェンジに対応したCal.3075に更新されており、かなり現代的な仕様になっている。なかでも初期ロットはフジツボインデックスなどのディテールでヴィンテージ感が高く、GMTマスターファンからは高い人気を得ている。市場では比較的見つけやすいが、価格は500万円前後と決して安くはない。

これ以降はGMTマスター自体が廃番になり、GMTマスターIIに受け継がれていくが、ヴィンテージの雰囲気にこだわるなら、やはりRef.16758までの雰囲気が別格だ。ブラウンベゼルの褪色が、ゴールドのケースと相まって甘いトーンを醸し出しているし、フジツボインデックスの立体感もいい。

サブマリーナーなどと比べると、GMTマスターはなぜか近年まであまり人気がなく、特にゴールドモデルは敬遠される傾向にあった。いまの人気からすると考えられないほどの低価格で取り引きされていた時期も長く、そのころを知っていると現在の相場ではなかなか手が伸ばしにくいが、流通量の少なさを考え合わせれば、今後も価格が急落することは考えにくい。

 

【そのほかのロレックスの時計をLowBEATで探す】

 

次のページへ >

-LowBEAT magazine
-

PHP Code Snippets Powered By : XYZScripts.com