昨年、クレドール50周年を記念してわずか300本だけが復刻されて注目を浴びたロコモティブだが、セイコーは来たる5月23日から新文字盤を発売すると発表した(定価187万円)。
このロコモティブだが復刻されるに伴って時計愛好家の間ではあることが注目されて話題を呼んだ。そこで1970年代当時のロコモティブ(写真)とはどんな歴史的な背景があるのか、それについて取り上げてみたいと思う。
かつてセイコーは74年にフランス語の“クレドール(「黄金の頂き」の意)”名で同社の高級ラインをブランド化。79年には、ネジ込み式のリューズと裏ブタを採用することで薄型ケースながら10気圧防水を実現した3種類の国産初となる高級スポーツモデルを発表した。
そのひとつがロコモティブ(Ref.KEH018)だった。そしてこのロコモティブのデザインを担当したのがジェラルド・ジェンタである。いまや一般ではなかなか手に入れること自体が難しいほど世界中で人気のオーデマ ピゲのロイヤル オークやパテック フィリップのノーチラス、そして昔のオメガのコンステレーション、C-LINEなど、歴史に名を残す数々の名作を手がけたことで知られるウオッチデザイナーの巨匠だ。
冒頭に触れた時計愛好家が注目したことというのは、このジェラルド・ジェンタがデザインしたことを明確に打ち出して商品訴求が行なわれたからにほかならない。それに伴って70年代当時のロコモティブが再注目されて一気に100万円を超える実勢価格となっているほどだ。
では、79年に発表された「3種類の国産初となる高級スポーツモデル」の他の2種類についてはどうか。こちらのデザインについてはジェンタではなく、セイコーの社内デザイナーによるものだった可能性が高いらしい。そのモデルとはKZTとKZH。しかしながらケースのフォルムといい、ベゼルの造形といい、ジェンタデザインに共通する魅力は多い(写真は次ページに掲載)。
【写真の時計】
ロコモティブ。1970年代。Ref.KEH018。SS(36mmサイズ)。クォーツ(Cal.5932)。143万円/LowBEATマーケットプレイス
文◎LowBEAT編集部
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