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かつて不人気だった5桁の旧型GMTマスター II が再評価される理由|菊地吉正の【ロレックス通信 No.287】

国内定価166万4300円に対して並行輸入店での実勢価格が370万円とデイトナに次ぐ定価との価格差が大きいGMTマスター II 。いまでこそ大変な人気となっているが、これは2007年のモデルチェンジで現行のデザインになってからのことで、それ以前は特に日本においてはスポーツ系の中でいちばん人気が低いコレクションだった。

そんな人気がなかった時代のモデルが今回取り上げるRef.16710である。この型番が登場したのは1988年のこと、1955年の誕生から第4世代目として時針単独可動型の3100系ムーヴメントが搭載された。2006年に生産終了となるまで実に約18年間も生産が続けられたロングセラーだ。

ちなみに筆者が刊行する高級腕時計の専門雑誌「POWER Watch(パワーウオッチ)」が創刊したのが2001年11月。その創刊号に掲載されたRef.16710の新品実勢価格は、当時の国内定価57万7500円に対してツートンベゼルが31万円、黒の単色ベゼルが33万円だった。

同時期に人気だったデイトナが約116万円(定価80万8500円)、エクスプローラーは約41万円(定価43万8900円)、そしてサブマリーナーデイトは約39万円(定価51万2400円)。つまりエクスプローラーやサブマリーナーデイトよりも低い実勢価格で販売されるほど人気がイマイチだったというわけだ。

しかも不思議なことに当時の実勢価格は黒の単色ベゼルのほうが高い。つまりいまやダントツの人気を誇る青赤ペプシベゼルは、当時の日本人ユーザーにとっては色味が派手に感じたようで着けやすさという点で黒が人気だったのである。

そんなかつて不人気だったRef.16710だが、ベゼルのアルミ製インサートの褪色や薄くて小振りなケースなど現行モデルにはない古典的な風合いが適度に楽しめて、かつアンティークみたいに気を使うことなく日常的にも普通に使える。いまとなってはそういった点が逆に再評価されているのだ。

実勢価格は150万〜250万円。さすがにこの2〜3年でだいぶ相場は上がってしまったが、予算としては200万円前後がひとつの目安になるだろうか。ちなみにアンティークのGMTマスターとして人気のRef.1675は250万〜350万円となる。

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菊地 吉正 - KIKUCHI Yoshimasa

時計専門誌「パワーウオッチ」を筆頭に「ロービート」、「タイムギア」などの時計雑誌を次々に生み出す。現在、発行人兼総編集長として刊行数は年間20冊以上にのぼる。また、近年では、業界初の時計専門のクラウドファンディングサイト「WATCH Makers」を開設。さらには、アンティークウオッチのテイストを再現した自身の時計ブランド「OUTLINE(アウトライン)」のクリエイティブディレクターとしてオリジナル時計の企画・監修も手がける。
2019年から毎週日曜の朝「総編・菊地吉正のロレックス通信」をYahooニュースに連載中!

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