近年、いっそう存在感が際立っているのがジャパンブランドだろう。なかでもグランドセイコーを筆頭とするセイコーブランドは、海外の時計ファンから大きな注目を集めている。
同社は2024年、約50年振りに新開発した毎秒10振動のハイビート手巻きムーヴメントのキャリバー9SA4を発表した。これは既存の自動巻き9SA5をベースとしており、約80時間のパワーリザーブをはじめ、ツインバレルや巻き上げヒゲ、フリースプラング式、デュアルインパルス脱進機といった仕様は従来に同じ。
ただし、手巻きムーヴメントであることから巻き上げ時の感触にこだわり、コハゼを新規設計している。地味だが通好みな改良だ。
また9SA4搭載モデルのRef.SLGW003の文字盤には、好評を博した“白樺ダイアル”を採用し、独特な表情に仕上げている。なおこうした日本的な美を取り入れた文字盤は、セイコーに限らず近年のジャパンブランドに共通するトレンドだ。
GRAND SEIKO(グランドセイコー)
エボリューション9 コレクション 手巻メカニカルハイビート 36000
約50年振りに開発された毎秒10振動手巻きハイビートムーヴメントを搭載したモデルで、グランドセイコーの工房がある岩手の雫石に自生する白樺にちなんだダイアルデザインが印象的。バーインデックスと青焼き秒針、シルバー系でまとめられたカラーリングなど、グランドセイコーらしい気品に満ちている。ケースの素材には耐傷性に優れたブリリアントハードチタンを採用し、熟練工のザラツ研磨による仕上げが施されている。
【問い合わせ先】
セイコーウオッチお客様相談室「グランドセイコー」
TEL.0120-302-607
他方、新興ブランドの躍進にも注目したい。片山次朗氏による大塚ローテックの6号は、2024年のジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリのチャレンジ部門でグランプリ受賞という栄誉に輝いた。大手メーカーとは一線を画す自由度の高い発想と手作業によるディテールの細やかさは、マイクロブランドならではの魅力であり、今後さらに愛好家からの注目を集めるに違いない。
ほかにも独立時計師の浅岡肇氏によって現代によみがえった“TAKANO”の存在も見逃せない。同ブランドの初作“シャトーヌーベル・クロノメーター”は、国産時計としては初めてフランスのブザンソン天文台でクロノメーター認証を受けた力作となっている。
TAKANO(タカノ)
シャトーヌーベル・クロノメーター
機械の計器を思わせる独特なダイアルデザインで話題を集めたモデル。新進の時計師である片山次朗氏が、デザインから組み立てまでほぼひとりで仕上げたこのモデルは、最近では珍しいレトログラード表示を採用している。その独創性と技術力が認められ、2024年ジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリのチャレンジ部門で優勝という快挙を成し遂げており評価は急上昇。製造数が少ないこともあって、今後の入手は困難を極めるだろう。
【問い合わせ先】
TAKANO
https://takanowatch.jp/
【画像】編集部が注目する、五つの“国産時計ブランド”を見比べる
文◎Watch LIFE NEWS編集部
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