業界唯一のアンティーク時計の専門誌「ロービート(LowBEAT)」編集部が毎週水曜日にお届けしているアンティーク時計初心者向けの入門記事。今回はアンティークのロンジンについて解説したいと思う。
オールドロンジンを楽しむのであれば
どうせなら手巻きを狙いたい
アンティークの世界でロンジンといえば人気のほとんどが手巻きだ。それぐらい手巻きの評価は圧倒的に高い。その理由は単純で、大きなパーツを用いた堅牢設計で丈夫なうえに、不具合などほとんどないほど壊れにくいからである。
狙い目は1929年に開発されたCal.12.68とその兄弟機たち。これらは生産性を考慮した設計だったものの、耐久性を考慮して厚く抜いた受けには面取りがなされており、かつ表面にも丁寧な仕上げが施されるなど見た目にも高級で重厚な作りのため、これまでどおり部品の作りに手を抜くことはまったくなかったからである。
手巻きロンジンの魅力はムーヴメントの作りだけではない。アール・デコを感じさせるデザインから、軍用時計のような無骨なデザインまで幅広く、30〜40年代ならではのいかにもアンティーク然とした文字盤やケースの作りもとても豊富だからだ。つまりこの選択肢の多さもほかのブランドにはない大きな楽しみのひとつと言えるのである。ただし、ブラック文字盤仕様や、通称〝トレタケ〟と呼ばれる防水ケース仕様などの人気が高いモデルの多くが50万円以上と割高になってしまうので注意を。
最後に注意点をもうひとつ。手巻きロンジンで古いものは裏ブタがスナップバックのものも多く、中のムーヴメントが錆びていないか買う前にチェックは必要だ。裏ブタとミドルケースの接地面にサビが確認できる個体は、中まで浸透してしまっているケースが多く、技術的にはレーザーで除去はできるが、修理費は高額となるため覚えておくといいだろう。
【代表的な手巻きムーヴメントリスト】
Cal.12.68Z(1929年)・・・ いまでも壊れにくくて優秀と評価の高い手巻きの基幹ムーヴメント
Cal.27.O(1929年)・・・・Cal.12.68の兄弟機。基本構造は12.68と同じだが高級機の位置付けにあった
Cal.10.68Z(1932年)・・・ Cal.12.68の設計を転用し、直径23.3mmに小型化された
Cal.23.O(1932年)・・・・・Cal.10.68の高級版に当たる
Cal.10.68N(1939年)・・・Cal.10.68Zのセンターセコンド版
Cal.12.68N(1939年)・・・Cal.12.68Zのセンターセコンド版
Cal.23M(1939年))・・・・Cal.23.Oをさらに薄型化
Cal.12.68ZQ(1943年)・・12.68Zのデイト付き
Cal.30L(1955年)・・・・・・ロンジンの手巻きムーヴメントの完成形。59年には毎時2万1600振動にアップ
【画像】7万円台からの手巻きのオールドロンジンをもっと見る!
文◎LowBEAT編集部
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