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【アンティーク時計市場でも人気】ビギナーが狙うべきミリタリーウオッチとは?

軍需品にはその時代の最先端技術が惜しみなく注ぎ込まれる。時計も例外ではなく、腕時計の進化にはミリタリーウオッチが常に重要な役割を果たしてきた。過酷な状況の戦地でも正確な時を刻む防水性や耐衝撃性、ミッションを完璧に遂行するために不可欠なクロノグラフ機能など、求められる要求基準はハイレベルなのだから、考えてみれば当然の話なのだ。

アンティーク時計市場でも、ご存じのようにミリタリーウオッチの人気は高い。実際にプロが道具として使ってきたという背景が感じられるうえに、タフで無駄のない質実剛健なルックスはやはり魅力的だ。初期のミリタリーウオッチが開発されたのは19世紀後期のことで、当時は懐中時計に保護用のカバーを取り付け、腕に巻けるようにベルトを取り付けられるワイヤーラグを追加したシンプルなものだったが、ボーア戦争や第1次大戦期に軍用腕時計は大きく進化。陸・海・空と部隊が専門化していくにつれて、時計の機能もそれぞれに最適化されたモデルが生まれていった。第2次大戦期になると海軍の特殊部隊用に防水性を高めたモデル、空軍用に耐磁性に優れたアビエーションウオッチなども生まれている。現代に通じるようなダイバーズウオッチやクロノグラフがさらに発展していったのは、第2次大戦以降のことだ。

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市場で人気が高いミリタリーウオッチは、第2次大戦期に使われていたもの、あるいは大戦終結後に生まれたものだ。第2次大戦期で特に人気が高いのは、イギリス国防省が陸軍用に発注したW.W.W.(Watch Wrist Waterproof)。発注先はビューレン、シーマ、エテルナ、グラナ、ジャガー・ルクルト、レマニア、ロンジン、IWC、オメガ、レコード、ティモール、バーテックスの12社で、“ダーティー・ダース”の愛称で知られている。仕様は軍の調達基準に基づいているため、どのブランドも似通っており、ブラック文字盤に夜光塗料入りのアラビア数字インデックス、スモールセコンドとシンプルで見やすいデザインだ。ミリタリーウオッチファンにはこのダーティー・ダースを全種類集めるのが夢だという人も少なくないが、特にグラナは製造本数が1000~1500本と群を抜いて少なく、市場にもほとんど出回らない。ほかにもエテルナあたりは現存数が少ない。

第2次大戦後の1950~60年代モデルは、ダイバーズやクロノグラフなど機能的にも充実した個体が多く、いまでも実用できるものが多い。モデルバリエーションが多いので集める楽しみもひとしおだ。この時期から時計は大量生産されるようになって価格も下がったことから、仕様も徐々に簡略化されていった。また壊れたら修理するのではなく、そのまま捨ててしまうというディスポーザブルウオッチが増えていったのは70年代以降のことだ。

ただでさえ過酷な環境で使われることが多かったミリタリーウオッチは、状態が良いままで残っている個体は少なく、それだけで価値が高い。その辺の見極めがなかなか難しいので、特に初心者には、ミリタリーウオッチの扱いに長けたショップで購入するのをおすすめする。

 

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