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ゼニス
Cal.135 クロノメーター
かつて、時計メーカーが精度を競ったスイスの天文台クロノメーターコンクール。いわゆるクォーツ革命前夜の1967年まで開催されていたこの天文台コンクールにおいて、その誕生当初から参加し、華々しい結果を残したのが、ゼニスが誇る名機Cal.135である。
エフレム・ジョバンが天文台クロノメーターコンクール向けに設計し、48年に登場したCal.135は、コンクール参加初年の48年と50~54年にわたる合計6回もヌーシャテル天文台において1位を獲得した。それだけでも驚くべき成果だが、そのうち48年、50年、54年に至っては、1位だけでなく、2~3位まで独占したというから、当時、他社に比して、いかに精度が高かったかの何よりの証左にほかならない。
前述のとおり、そもそも天文台クロノメーターコンクール向けに開発されたCal.135であったが、後に標準クロノメーターとして市販化もされている。
天文台クロノメーターコンクールに初参加の1948年から、製造が中止になる62年まで、合計約1万1000個生産されたが、これは同時期の他社の天文台向けクロノメーターの生産個数と比較するとかなり多い。
例えば、Cal.135と同じく、時計愛好家から高い評価を得ている天文台コンクール専用エボーシュであるプゾーCal.260の場合、ムーヴメントの製造期間は43~71年(異説あり)までと、Cal.135よりも長いが、その生産数は3302個(異説あり)と、Cal.135の3分の1以下しかない。
その意味で、Cal.135はヌーシャテル天文台コンクールで6回も1位を獲得した名機にもかかわらず、実は他社の天文台向けクロノメーターに比べれば、はるかに探し出しやすいのが特徴である。
とは言え、元来、天文台クロノメーターコンクール向けとして設計されたため、ムーヴメントの仕上げや輪列に配された四つの巨大な穴石など、市販機としてはコストが掛かりすぎたため、残念ながら14年で製造中止となってしまった。 だが、独創的な形状の微動緩急針や、面取りされ、美しい装飾が施された受けなど、量産機には見られない特徴を多数有する点は、時計愛好家の嗜好性をくすぐってやまない。
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文◎LowBEAT編集部