アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。
ロンジン
コンクエスト
2024年にアニバーサリーイヤーを迎え、それを記念して発表された70周年モデルも注目を集めたロンジンのコンクエスト。
1954年の発表当時、同社の最高機種として誕生した本コレクションを振り返ってみたい。
1940年代になってロンジンも自動巻きの開発に着手し、45年には初のラチェット式自動巻きのCal.22Aを完成させている。ただこの22Aは野心的すぎたのか、あまりにも複雑で問題も少なくなかった。
そこで52年に登場したのが改良版となる19ASである。まさにこの頃は、手巻きから自動巻きへと移り変わろうとしていた時代であり、各社から自動巻きの新しいコレクションが相次いで発表されていた。
こうした流れのなか、54年、ロンジンが発表した自動巻きコレクションが“コンクエスト”である。実はこれが、同社では明確なコンセプトとともにコレクション名を立てた最初のモデルだ。
当時の広告では“すべての品質でファーストクラスを保証する”というキャッチコピーとともに、エレガントなデザインながらも防水、耐震、耐磁性能を備えていることを積極的にアピールしている。一方、こうした積極的な広告戦略があった背景にはコンクエスト発売の2年前に登場したオメガのコンステレーションを意識していたことは想像に難くない。
ケースは金無垢仕様とステンレススチール仕様を展開し、56年にはデイト表示付きのバリエーションが登場している。さらに58年には、リバーサー式の自動巻きCal.290が完成し、これに載せ換えたコンクエストの第2世代が登場する。
その後も70周年モデルでも復刻されたパワーインジケーター付きモデルなど、時代に応じたデザインエッセンスや技術を取り入れながらバリエーションを増やしていった。
そのため、現在のアンティーク市場でも比較的容易に見かけることができるのだが、正直なところ、ロンジンの自動巻きは手巻きほどの名声を得ていない。
ただ、同社の最上位機種として位置付けていただけに外装の作りは決して悪くないし、相場も値ごろな個体が多いため、狙い目のアンティークウオッチだ。
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文◎LowBEAT編集部