アンティークロレックスの世界で圧倒的人気が高いのは、ステンレススチール素材のスポーツモデルだが、ここ数年目利きのコレクターたちが注目しているのはゴールドモデルだ。
その背景にはご存じのように金価格の高騰がある。2020年にはだいたいグラムあたり6000円台だった金相場は、その後ずっと右肩上がり。特に24年に入ってからの急騰ぶりは凄まじく、1月時点でまだ1万円を少し超えるくらいだったのが、12月の現時点では1万4000円台半ばで推移している。1年で4割ほど価格アップしているわけで、この相場は当面収まりそうにない。
アンティークロレックスも、この金相場上昇の影響もあってか、以前は価格上昇の幅が緩やかだったモデルも、ここに来てぐっと相場を上げつつある。特にGMTマスターのコンビや金無垢、デイトナの金無垢などはかなり価格を上げているが、それでもステンレススチールモデルと比べると、ゴールドモデルはまだお買い得感が高いのだ。しかし、なかなか止まらない金相場の高騰を考え合わせると、今後はこうしたモデルの資産価値はより注目されていき、さらに価格を上げていくだろう。
少し前までは、金無垢ロレックスというとオヤジくさい、バブルっぽい、派手すぎると敬遠される傾向が強かったが、最近はそうやって敬遠する人も減っている。むしろゴージャスさや華麗さ、高級感を楽しめるファッションアイテムのひとつとして、若い顧客層ほど抵抗感がなかったりする。そもそもロレックスのやや無骨なデザインにゴールドはよくマッチするのだ。
特にアンティークモデルであれば、経年変化による文字盤の枯れ感なども相まって、ゴールドケースであってもギラっとした感じがうまく抑えられた個体が多い。渋く枯れたゴールドロレックスは、カジュアルファッションにも合わせやすく、ファッション上級者の雰囲気を演出しやすい。
現行のロレックスはエバーローズゴールドと呼ばれる赤みがかった独自の金素材を推しているが、アンティークで多いのはイエローゴールド。金無垢時計として最もイメージしやすいトーンだ。また銀とパラジウムを混合したホワイトゴールドも流通量が多く、ロジウムコーティングされた表面のトーンは落ち着いた雰囲気を感じさせる。ギラっとした感じはだいぶ抑えられているので市場での人気も高い。
近年のロレックスは18金を採用しているが、バブルバックなどの古い個体になると14金や10金など、金の混合率が低い素材も使われている。これらも独特のくすんだトーンを生み出しているが、その年代のモデルとなるとかなり上級者向けといえる。ゴールドモデルを購入するときは、ポリッシュや打ち傷補修などでケースが痩せた個体も多いので、外装のコンディションを見極めるのが重要だ。
次ページで、往年のゴールド系アンティークロレックスをご紹介。