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【ロレックスやパテック フィリップも!?】ダブルネームモデルの本当の狙いとは?

アンティーク時計専門サイト「LowBEAT Marketplace」には、日々、提携する時計ショップの最新入荷情報が更新されている。
そのなかから編集部が注目するモデルの情報をお届けしよう。


パテック フィリップ
Ref.3468 BEYERダブルネーム

アンティーク時計で、たまに“ダブルネーム”と記された商品を見かけることがある。
このダブルネームとは、その名が示すとおり、ブランド名とは異なる“二つ目の名前”が時計に併記されているモデルを指してる。
ダブルネームモデルは現代でも各社からリリースされることがあるが、協業的な意味合いをもつ現代と、かつてでは実はニュアンスがやや異なっていることが多いのだ。

かつてのダブルネームモデルがどういったものだったかを知るには、当時の時計メーカーが置かれていた状況を振り返る必要がある。

腕時計が普及する以前の懐中時計時代。時計は小さな工房で一つひとつ手作業で作られ、生産数も限られており、メーカー名やブランド名すらないことが普通だった。当時こうした小さな工房が手がけた時計は、それを販売する時計店や宝飾店に納品され、販売店でケースに納められるということも多く、販売店の名前を使って販売された時計も少なくなかったのである。つまり、力関係としては、販売店のほうが圧倒的に強い時代だったのである。ちなみに時計メーカーがブランド、いわゆる“商標”を用いて工業的に作られ始めるのは1900年を過ぎてからだ。

そんな時代にあって、非常に巧みな戦略をとったのがロレックスだ。
無名だった創業当時、販売契約を結んだ有力な時計店や宝飾店の名前をあえて文字盤に併記することで、自社の認知度を高めると同時にブランドイメージの向上を図ったのである。これについてはロレックスが起源と裏づける資料はないものの、現在のアンティーク市場にはロレックスと有力店のダブルネームモデルが数多く残されており、積極的に展開していたことは確かだ。

つまりかつてのダブルネームモデルは、現代のようなスペシャリティなモデルという位置付けではなく、宣伝目的の意味合いがより強かったのだ。
実際どの程度の効果があったのかは定かではないが、ロレックス以外にもIWCやパテック フィリップ、ジャガー・ルクルト、ヴァシュロン・コンスタンタン、オーデマ ピゲなどの高級ブランドも同様のダブルネームモデルを展開していたことは事実である。また、なかには販売店名のみしか記載されていない時計も存在している。

【商品詳細】Ref.3468。K18YG(33mm径)。手巻き(Cal.23-300)。1960年代製。121万円。取り扱い店/喜久屋 ショップページに移動

今回取り上げるのは、パテック フィリップとスイスの老舗時計店“BEYER(ベイヤー)”とのダブルネームモデル。なお基本的に通常モデルとダブルネームモデルとの違いは、名前の有無だけということがほとんどで、このことからも宣伝的な意味合いが強かったことがわかる。

 

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文◎LowBEAT編集部
画像◎喜久屋

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