厚生労働大臣が定める卓越した技能者(現代の名工)に選出された片山次朗氏が率いる時計ブランド“大塚ローテック”は、本年度のジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリのチャレンジ部門において、扇形の時分針が特徴の自動巻き腕時計“6号”のグランプリ獲得を発表した。チャレンジ部門でのグランプリ受賞は国産時計ブランドで初めての快挙となる。
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毎年ウオッチシーンに新たな話題とインスピレーションを与える“ジュネーブ・ウオッチメイキング・グランプリ(GPHG)”は、時計業界のアカデミー賞と称され、スイスや世界の時計文化の伝統や技術そして価値を高めることを目的とした、最も権威ある賞レースだ。
そのジュネーブ・ウオッチメイキング・グランプリのなかで、3000スイスフラン(約50万円)以下の時計を対象にしているチャレンジ部門において、本年度のグランプリを獲得した時計が大塚ローテックの“6号”である。
42.6mm径のケースはステンレススチール製で、時計全体を薄くするために6時位置に時分針ユニットを格納。文字盤をムーヴメントに固定することで、文字盤とベゼルの面の高さが揃えられている。
その文字盤には、本機を特徴づける扇形のアナログメーターが大きくデザインされ、レトログラード機構により時分針が右端まで到達すると瞬時に帰零する動きを見せる。さらに、中央に秒ディスク、中央右に日付表示が配され、特徴的なビジュアルが生み出された。
これらを動かす心臓部は、国産汎用ムーヴメントにの約30の部品で構成される自社製レトログラードモジュールを搭載したもので、改修を重ねて2024年に現仕様に到達したモノ。約40時間のパワーリザーブを備えている。
なお、グランプリ受賞に際し創業者兼代表の片山次朗氏は以下のコメントを発表している。
「世界中の素晴らしい時計が集まるコンペティションで選ばれたことを大変光栄に思います。私の時計製作は、約20年前ヤフオクで旋盤を購入し、機械の練習のつもりで腕時計の外装部品を作ったことから始まりました。どんどん楽しくなって、やりたいことが増えていきました。5番目に作った時計を恐る恐る売ったところ、喜んでくれる人がいたことが嬉しくてこれまで時計を作り続けてきました。これからも大塚で時計作りを続けていきます。」
大手の時計メーカーとは一線を画す自由度の高い発想と、ディテールの細やかさ、製造本数の少なさから、発売と同時にレア化してしまうモデルも少なくない独立時計師によるプロダクト。今回の“6号”受賞をきっかけに、さらに熱い注目を集めていきそうだ。
ウオッチライフニュースでは、昨年末に片山次朗氏の取材を行っている。時計製造までの経緯など、興味深い内容となっているため、以下の記事をぜひチェックしていただきたい。
【問い合わせ先】
大塚ローテック
https://otsuka-lotec.com/
文◎Watch LIFE NEWS編集部
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